神様の本気。

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 高取神社には2種のおみくじがあった。  一つが社務所で引くもの。もう一つがご神前で引く、小さな縁起物も包まれたもの。 「やっぱり神様の前のを引きたいよねー♪」  私はおみくじを引くときに意識することがある。  ・答えてほしい神様  ・答えてほしい内容  この2点。この点を意識しながら引くと、いつもドンピシャな言葉が書いてあってキュンとくる。  この日はもちろん、豊受姫命さまに。  質問は「何か言葉下さい!」(←具体的なのが浮かばない時のヤツ)  エイッ! と引いて、中身を取り出し開いてみた。  中には最初に漢字が一文字。 「歩……」  私はそのまま、続く言葉を目で追った。 a9b8fb96-8448-4f97-adf7-70b4a390f9b2  全てを人生の修行と想い 歩み続けよ  道なき道を雨の日も風の日も  何が起ころうとも  立ち止まることなく  ただただ前へ  あなたの足跡には花が咲き  新たな道が生まれるだろう 「……道なき道……」  なぜだか溢れ出す  涙。 涙。 涙。  道なき道を雨の日も風の日も。  雨の日も風の日も。 「でもそれが必要なことを私は知ってるよ。神様」  雨が降るから芽が育つ。  風が吹くから種が飛ぶ。 「それがたくさんの花を咲かせるために必要なことって、ちゃんと知ってる」  風に乗せて 花咲く場所を広げて行こう。  大丈夫。大丈夫。 「大好きな神様が一緒だから、私は絶対に大丈夫」    おみくじに入っていた小さな縁起物は、金色の招き猫。  この招き猫さんがどんな未来を招いてくれるのか。 c3152557-984a-4279-8257-923f8423989b  たった200円のおみくじ。  でも豊受姫命さまの言葉と強い想いがそこにありました。 「神様、ありがとう。私はあなたの力になりたい。だから見ていて下さいね」 「これから晴れて "神仏広告代理店" だね!」 「……え。よく知ってるね……」 "神仏広告代理店" とは、その時に書いていたブログのタイトルだった。 「前から憑いてるって言ったでしょ?♪」  そうだった。そうでした。 「ほんまやー! なるわ……リアル "神仏広告代理店" に!」  おみくじを畳んで丁寧にしまい、本殿に向けて深く一礼し、私は高取神社を後にした。   "神仏広告代理店" と書かれた見えない旗を、空高く掲げながら。
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