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プロローグ。
今日変なことがあった。
山や神社が好きなごく普通の主婦である私は、ずっと前から、来よう、来ようと思っていた場所にいた。
六甲山の西側に位置する独立峰。高取山。
その頂上に高取神社はあった。
何度か前を通り過ぎることはあったけど、その鳥居をくぐったことはなくて。突然思い立った私は、夏の終わりに高取神社を参拝することにした。
最初に本殿にいた時は、何も感じなかった。だいたい初めての場所ではそんな感じ。
「まあ、そうだわな。初参拝だし」
神社仏閣参拝が好きな方なら、きっと共感してもらえるだろう。ご神域という場所には、特別なエネルギーがやはりある。
私の場合は、何度も通ううちにそこの神様が単語ひとつをポンと下さったり、おみくじで質問にドンピシャな答えを返して下さるようになっていた。
本殿を出ると奥宮に続く道がある。私はより山頂の奥宮に行くことにした。階段を登ると広場があり、神様方が祀られていた。
その奥の森の中の小径にいらっしゃる神様方にも、挨拶をして回った。
「大己貴大神さまだー。こちらの神様とのご縁が結ばれますように♪」
山頂の奥宮に挨拶を済ませ森を出た私は、また本殿に向かった。
とにかく街が一望できる高度。
標高328m。この日は涼しくて、もう秋の表情の空に私は包まれていた。
再び本殿に戻った私は、社務所で神札を授与して頂いた。
時々私は、お守りや神札を本殿のご神前で出して、さらにご神気を頂く。
この時もるんるんと神札を袋から出し、手にしたまま何か言葉が頂けないか目をつむった。
蝉の声が聞こえる。お線香の香りがする。
……ここ、気持ちいいなー。
そう思ったときだった。
ふと顔を上げると
神様の祀られているその場所に、美しい誰かが立っていた……。
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