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ここからは余計に遠いよー。なんせ山のてっぺんだもん。
「あ。山のてっぺんで思い出したんだけど! 豊受姫命さま……登山服着てはったよね……あれなんで???」
「快適だからじゃない?」
「最近、豪雨すごいから。神様は雨の日のお出かけもあるからねー」
そんなもんなの……?
「あとさー、ママに山の知識があるからそう見えるんだよ」
「あー そうね。山のエキスパートな姿で見えるのね♪」
そ、そんなもんなの?!
「……ますます不可思議」
「そうだよー。だって 基本的に見る人のイメージだもん」
「神様は自然のエネルギーだからねー」
うむ。分かるような、分からんような。
神様が自然のエネルギーっていうのは、前から思ってたけど。
でもあんな姿で見えてしまうと、話はまた別。……な気がする。
「あ。ねえねえねえねえ! 清高稲荷大明神さまって女神さま?」
「ほんっとにせわしないな! 内緒!」
「内緒内緒!」
「教えてくれてもいいじゃんー!」
駄々をこねる人間と、お預けをする子狐眷属。
「だって清高さまが言うなって」
「内緒にしておいてって♪」
「なんでなんでなんで! それくらい教えてくれても……っ」
「……お参りに来て欲しいんだよね。清高さま」
「そうそう。高野山のお仕事があるからって。会いに来てって」
会いに来て……って。
神様って、会いに来て欲しいの?
「当たり前だよ」
「さっきママが言ってたよ? 神様は自然のエネルギーって」
「え?」
「清高さまは、高野山にいるからママの大好きな "清高稲荷大明神" でいられるってこと」
「その場こそが、そこの神様なの。だから清高さまのエネルギーは高野山にいないとだめなの」
高野山のエネルギー……私はあの大きな杉や檜の森を思い出した。
「神様は純度の高いエネルギーを人間に渡したいんだよ」
「だからね、そこに行くことが大切なの♪」
「神社に呼ぶって、お賽銭欲しいからじゃないんだよ?」
「そこの強いエネルギーを渡したいからなんだよー♡」
子狐たちの誇りに満ちた目が、キラキラしている。
確かに
御神域の空気って全然違う。
「清高さまがどんな姿で見えるのか、僕たちも楽しみだね♪」
「ママの高野山のイメージも混ざるからねー」
「ママ、行こうよー。高野山!」
「私たちもたまには帰りたいよー。あの境内で、管理人さん家の子どもたちと遊びたいの♪」
……か、かわいい……♡
「そうだね。行こう。高野山! 私も清高稲荷大明神さまに会いたい。直にお礼を伝えたいもん。いっぱい! ただ……」
めっちゃ遠いけどね! 今!
(まだ下山していません。笑)
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