if……未来

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if……未来

「なるちゃんさ……お酒飲む時は必ずオレが居るところにして……お願い。」 と蜂谷にお願いされた。理由は簡単。 成瀬はあまり酒に強い方では無い。そして、酔うと誰彼構わずに抱きついたり、ぽやぁっとして隙が出来すぎてしまうからだった。 それに気がついたのは蜂谷が成人して一緒にお酒を飲むようになってからだった。 ーーーー遡ること1日前の夜ーーーー 久しぶりに外食をして、オススメだと言う居酒屋に連れて行ってもらだた。 そこでたらふく飲み食いしたまでは良かった。大好きな成瀬と一緒に居れる事が嬉しいから、1人で食べるよりも更に美味しく楽しく食べられる。 そこまでは良かったのだ。突然成瀬が席をたち、蜂谷の隣に座って腕に絡みついてきた。 驚いて成瀬を見るとアルコールのせいで顔は赤く火照り、目が潤んで何ともいたたまれない気持ちにさせられた。 「な、なるちゃん酔ってる?」 「酔ってないよぉ〜。そんなことより蜂谷くん……また筋肉ついた?」 いつもなら外でこんなにベタベタ触れてくる事なんてしないのに、やはり酒に酔っているようだ。 「ちょっ、なるちゃんここじゃやばいって……」 「えー……やだ、もっと触りたい。」 蕩けた目で見上げられ、蜂谷は息を飲んだ。いくら半個室と言え、これはまずい。 と言うか、成瀬は酒を飲むといつもこうなるのか?と疑問が浮かぶ。 だとしたらやばい。 蜂谷に制止された成瀬は大人しく向かい側の席に戻ったが何となく落ち着きが無い様子でチラチラとこちらに視線を送ってくる。 「蜂谷くんは僕に触りたくないんですか〜?僕はいつでも触れたいのに……ちゅーだって沢山したいのに……」 ぶつくさと何かを言っていて、聞き取れた言葉は触りたいとかちゅーしたいとかそんなような事ばかりだった。 このままでは自分の理性もヤバいと、成瀬を自宅に連れ帰った。 玄関を入るとすぐ成瀬が抱きついてキスをねだった。 「蜂谷くん……ちゅーして?」 背伸びをして腕を首に回して小首を傾げて見られる。酔ってるとは言えこの可愛さ……普段では絶対に見せない積極的な成瀬の姿に蜂谷も我慢の限界だった。 「なるちゃん……」 うっすら開いた唇にかぶりつくように唇を重ねた。 「んんぅっ……は、ちやく……やっとちゅーしてくれたぁ」 ヘラっと嬉しそうに笑って、もっとしたいとねだる成瀬。 「今度はぁ……舌べろべろするの、シて?」 無自覚に煽ってくる厄介なタイプの酔い方をしているなと思いながらも、蜂谷は言われるがまま成瀬の口腔内を蹂躙していく。だんだんと互いの息が荒くなり、口付けも激しさをましていく。無意識だろう、成瀬は蜂谷に下肢を擦り付けるような動きを見せる。 そこは酒を飲んでいるにも関わらずもう既に少し反応していた。蜂谷はそれほど飲んでも居なかったからこの有様の成瀬を目の前に完全に勃起してしまっている。 「蜂谷くんの……硬いね。見てもいい?」 「え……あ、あぁ……」 頷くと直ぐに成瀬はその場に膝まづいて蜂谷のズボンのベルトに手を掛けた。 「酒のせい……とはいえ、これはやべぇ。」 こんなに積極的な成瀬は初めてだ。 「わ、蜂谷くんすごいよ……こんなに大きくなって……」 形を変えたソレを手にし、成瀬はうっとりと呟く。 「まぁ、確かに成長はした……ってそうじゃねぇ、なるちゃんそろそろ移動しようか?ここじゃオレ風邪ひいちゃうな〜」 何とか諭して成瀬をベッドまで連れていくことに成功。 それでもまだ絡みついてくる成瀬。 「京佑……きょうちゃん……」 「なるちゃん……」 普段なら絶対呼んでくれない下の名前をこんなにも呼ばれている。求めてくれているのだと嬉しくなるが相手は酔っているんだからと必死に耐える。確かにさっきまで勃起して痛いくらいだったが、こんなふにゃふにゃ状態でセックスをするのは何だか嫌だった。 だからぐっと堪えて敢えて紳士的に成瀬に接した。 「明日ゆっくりしような。」 「んー……」 既に寝ようとしていた成瀬は生返事を返す。 「こりゃ、明日覚えてないな。」 すやすやと寝息を立て始めた成瀬を愛おしそうに眺め、頭を撫でる。 「きょうちゃん……好きだよ。ずっと……ずっと……」 むにゃむにゃと口を動かしてまた規則的な寝息が聞こえる。 「なるちゃん、それ起きてる時に言ってよね。」 ーーーー翌朝ーーーー 「んんーよく寝た。……あれ、蜂谷くん?」 「あ、おはよ……」 「どうしたの、クマが酷いよ!」 あれから何度も寝ぼけた成瀬に悩殺されそうなのを耐えに耐え、寝付けなかった蜂谷の顔は酷いものだった。 「あは……」 まさかそれが自分のせいだとは成瀬は思わなかった。むしろ記憶が残っているのかすら怪しい。 「なるちゃん……オレと約束して欲しい事があります。」 「約束?」 「そう、約束。なるちゃん昨日お酒飲んだの覚えてる?」 「んー……飲んだっけ?」 やはり記憶が飛んでいるようだ。少し考えて思い出そうとしたのだろうが、分かんないやと応える。 「昨日なるちゃんすごかったんだよ、どこでもくっついてくるし、隙だらけだし……オレとだったから良かったけど、他の人にそんな事してたら危ないからさ……」 「えー、ホントに?迷惑かけちゃったね……ごめん」 しょんぼり肩を落として謝る。 「……でも、多分僕嬉しかったんだよ。蜂谷くんが成人して一緒にお酒飲める事が。」 「なるちゃん……」 楽しみにしてくれていたのを知って蜂谷はジーンとしてしまう。 「いや、いやいやいや、そうじゃなくて!一緒に飲めるのは確かに嬉しいことだけど、オレ以外に絡むとかしてほしくないからさ!ね、お願い。」 「えーだって仕事とか付き合いあるし……」 「とにかく!俺が居ない所で飲んじゃだめ、わかった?」 昨日の記憶が鮮明にある蜂谷は必死に言う。あまりにも必死だからか成瀬は一応頷いた。 「わかった……気をつけるね。」 なんとか約束を取り付けて蜂谷は一安心と胸を撫で下ろす。 すると途端に体から力が抜けてベッドに倒れ込む。 「えっ、は、蜂谷くん!?大丈夫……」 「大丈夫……ちょっと安心したら眠気が……」 少しだけ寝かせて、とそのまま蜂谷は眠りについた。昨晩は緊張と欲求不満で全く寝れなかったから当然30分やそこらで起きるはずはなく、大事な休みの半分を寝て過ごしてしまう。 起きた後の蜂谷は時間を無駄にしたと嘆いたのだった。 《終》
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