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部屋に戻り冷蔵庫を開ける。
今日はバイト先のカフェで食べてきたので作り置きがない。
(時間も遅いし手抜きでいいか)
さっさと作って勉強に戻りたい。
いつもより時短で攻めようと決めた。
玉葱と卵と冷凍から揚げを出す。
玉葱を細切りにして水とめんつゆを入れたフライパンに並べる。
火にかけて玉葱がしんなりするまで煮る。
冷凍から揚げをチンして小さめサイズに切り同じフライパンに入れる。
ぐつぐつ煮立ってきたら割りほぐした卵をフライパンの中心から円を描くように回し入れる。
卵が半熟に固まってきたらどんぶりによそった温めたご飯の上に乗せ最後に刻み海苔を散らして親子丼の完成。
ピンポーン
「はい!」
圭介が顔を出す。
「今日はこんなのしか作れなかったんですけど…」
「うわー!美味しそう!親子丼だ!ありがとう!」
「じゃあいつものように器置いておいて下さいね」
「了解です」
踵を返そうとすると圭介が思い出したように言った。
「そういえば実力テストの過去問見た?あれで大丈夫かな」
「はい、すんごくわかりやすいです。ビビりました」
「え、何にビビったの」
圭介が少しふき出しながら聞く。
「琴吹先輩本当に頭いいんだなって」
「え?そう?意外だった?」
「はい」
「正直か!」
「だって学習しないじゃないですか。毎晩のように貧血起こして」
「う、うーん…それは否定できない…」
ずっと気になっていたが聞けなかったことを口にしてみた。
「…どうして食べないのか聞いてもいいですか?」
「あー…そうだよね。こんだけ迷惑掛けといて事情話さないのは悪いよね」
「それは別にいいんですけど…純粋に気になりますよ」
「すみません…。えっと…嫌じゃなければこれ食べながら話してもいい?」
手に持った親子丼を見つめながら圭介がぼそりと呟くように言った。
「あ、はい。いいですよ。ついでに実力テストのことで聞きたいことあるのでうちでどうですか?」
「え。一人暮らしの女子の家に上がる勇気はないんだけど…」
ふっと笑いが込み上げてくる。勇気ってなんだ。自宅ならいいのか。
「先輩のこと信じてますから大丈夫ですよ。それにお世話になっている大家さんを裏切れませんよね?」
ニヤリと笑みを浮かべて言う京香に圧倒された圭介は困ったように言った。
「それ脅迫でしょ…」
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