−第一章− 十五年後の君へ

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−第一章− 十五年後の君へ

 一人暮らしになって、初めての掃除は結構、いや、相当大変だ。  クローゼットからダンボール箱を取り出す。少し埃が被ってる所を小型の最新掃除機で吸い取る。  ダンボール箱の中には、中学時代の 卒業証書と卒業文集が入っている。 中学生だった自分が、卒業文集にどんな内容を書いていたのか今となっては全く記憶にない。  卒業文集は、分厚い冊子だった。 よくこういう物は、黒歴史というらしい。でも、俺は全然恥ずかしいとは思えず、ゆっくり一枚ずつ捲っていく。  自分が書いたであろう文を探し出し、読んでいく。  『十五年後の僕へ(タイトル)         笠間 和臣(名前)    拝啓、十五年後の僕は何処で何をしていますか?夢である文を書く仕事に就いていますか?(何度も消した)僕の中学校生活は、思ったより塩辛い時間でした。(部活は色々あって三年間野球続けられなかった。(笑))  色々な人達に支えられて、ひとりじゃないと知ることができました。 去年、書きたいことを書き殴った小説が新人賞を受賞したのは、驚きでした。(元々軽い気持ちで応募したものだったから)  その瞬間、僕にとって野球だけが全てではなかったのだと気づかされました。なので、部活を辞めて正直よかったと思います。勉強と部活を両立できなかった僕が、初めて自分にできることを知れたのは、何よりも貴重な経験でした。 追伸 もし、何か辛く苦しい出来事が あっても大丈夫、君なら乗り越えられるから、自分を信じて。』      
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