−第一章− 十五年後の君へ

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 意外だった。部活を辞めたことを後悔していなかったから。  しかも、夢は叶っている。 高校生で小説家になり数冊の本が出版され、一躍ベストセラーになった。 しかし、ある時思い知らされた。 ヒット作の一作についてのあるSNSの書き込み欄に投稿された言葉だった。 「若いだけで売っている盗作作家」 「〇〇っていう本のパクリじゃん」 この投稿がきっかけになり読者や周りを動揺させてしまった。 丁度、同時期に文学界の重鎮と呼ばれる作家が類似の小説を出していたのだ。  それから、小説を書くのを辞めた。 正しくいえば、書けなくなった。 食べ物を口にすることができなくなった。(食べても吐いてしまう) 起きるのが難しくなった。 一週間で体重が六キロ減った。 一ヶ月後、母に連れられ病院へ行った。診断結果は、拒食症という病気。 ストレスの具合によっては、過食になることもあるのだとか。 小説が書けなくなって、立ち直るのには五ヶ月かかった。
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