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一週間後、女の両親が女を引き連れて百万程工面して持ってきた。
特にこれといった資産もなく、おまけに年金暮らしでこれ以上余裕がないらしい。
「私もう旦那いらないんです、あなたはまだ若くて綺麗で男なんてよりどりみどりなのに、なんで既婚者に相談女したの?人の物が羨ましく見えちゃう体質なの?」
女はまた真っ赤な顔になった。
両親が「私達の教育がなってないばかりに、本当に申し訳ありません」と頭を深く下げた。
全く関係のないご両親に謝られても罪悪感が募るばかりだ。
「とにかく、あんな中古のおじさん貸すだけで百万も払ってくれてありがとう」
女はまたビービー泣き両親にお前が泣くんじゃないと叩かれていた。
「私はもう離婚しますので、後はあのおじさんとどうぞお幸せに。この子の教育費、養育費奴等のお金はきっちり払って貰いますから、あなたもしっかり働いて下さいね」
女は初めて私に頭を下げた。
「奥さん、本当に申し訳ありませんでした、遠太郎さんとはもう別れて二度と連絡を取りません。お腹のお子さんの為にどうか遠太郎さんとやり直して下さい」
女の声はずっと震えていた、今になってようやく一つの家庭を壊したという罪悪感がわいてきたのだろう。
「無理です、もう愛情は残っていませんから」
そう笑顔で答えた。
「奥さん、本当に申し訳ありませんでした」
女と両親は机に頭を打ち付けそうな勢いで何回も謝ってきた。
帰り際、両親にその百万を返した。こんなに後味が悪いお金はこの子の為に使えない。
女の両親に涙を流して感謝された。
決して親切からではない、お腹の子に恨みを持たれても困るからだ。
女はご両親が責任持って故郷の徳島に連れて帰り、百万を工面してくれた遠縁の農家で働かせるそうだ。
少し可哀想な気もするが、この女には散々苦しめられた。
女はまぁまぁ外見が良い、本当なら独身の素敵な男性と恋愛する権利があるのに、何故わざわざランクがぐっと下がる既婚者と恋愛するのだろう。
我が子にはそういう他人の物を欲しがるような人間にはなってほしくない。
お腹をさすると愛情が無限に溢れてくる。
早くこの子に会いたい。
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