私の全てはあなた

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子供が3歳になると幼稚園に通い始め、他のお母さん方との付き合いが始まった。 ある日のこと子供の友達のお母さんからこんなことを言われた。 「旦那さんも育児に協力的だし、仲が良さそうで理想的な家族って感じ。二人目も今度産まれるんだよね、本当に羨ましいな」 ただお世辞を言われただけなのだろう、けれど他人から見たらそんな風に見えるんだと困惑した。 私はまだ夫の浮気を忘れていない。 それにもっと正直に言うと子供が産まれた今、私の全ては子供なのだ。 夫に対して結婚当初のような愛情は持てないだろう。 ただ毎日しっかり働いて、休日には子供に対して愛情を注いでくれている夫に感謝はしている。 主婦業も以前のように完璧にこなしてはいない、できる範囲で行なっている。 何故だか夫はそれが心地いいようだった。 私達は歯車が狂ったまま結婚して、結婚生活を送るうちに歯車がさらに狂い、ある瞬間に奇跡的に噛み合ったのだ。
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