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 昔々あるところで、一国を治める王様が、 建国1000周年を祝うパレードを開き、 王様自身も国内を練り歩いていました。 国民は皆、道路の端に寄って跪き、王様に敬意を表しています。  王様は今日、王国で代々受け継がれる一本の白いステッキを持っていました。 そのステッキには、 手にした人は誰でも、国を滅ぼすほど強力な魔法が使えるようになる、 という古くからの言い伝えがあります。 あまりにも魔力が強大なため、 普段の外出ではステッキを持ち歩かない王様でしたが、 この日ばかりは万が一を案じたのでしょう。  パレードは何事も無く終了しました。 ところが、城に帰った王様は大変な事態に気が付きます。 「あれ? ステッキがないぞ!」 そう、あれほどまでに肌身離さず持っていたステッキが いつの間にか消えてしまったのです。 「パレード中に通った道のどこかで落としたに違いない。  国境は警備隊が見張っているから、王国外にはないだろう。  全員手分けして王国内をくまなく探すのじゃ!  もし道になければ、民家を一つ残らず当たれぃ!」 王様が目の色を変えて、一万人に及ぶ家来たちにそう命じると、 彼らは直ちにステッキ大捜索へと移りました。
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