40人が本棚に入れています
本棚に追加
18.本当の闘い
深い息をついて、やっと身体を離した。大きくて温かな身体から。息が上がってしまっている。
「わかった。嵐には三番目の意味があるのね。」
ふふと隣で笑うあなたの瞳があんまり綺麗で覗き込む。
「あなたの瞳、初めて見た時から大好きだった。吸い込まれそうなんだもの。その瞳に凝視されると。」
「凝視ねえ。」
「うん、あの時の会話、本当に嬉しくって何度も脳内再生したんだよ。」
「脳内再生?」
そう言うあなたの温かな手が私の臀部をなでる。とろけそうになる。でも何とか会話を続ける。
「だって…あなたが私を見つめているかもしれない、なんて思っただけで、もうどうしたら良いかわからなくなるほど幸せだったもの。」
「俺はよく君を見つめていたよ。あゆみにも言われた。」
「何て?」
「あの夜、一瞬だけ君の瞳を見つめた時、なんて切なそうにするんだって。恋してるのねってさ。俺より先にわかったみたい。でも、あゆみに言わせれば、端から見たらまるわかりだってさ。だから君もわかってたんじゃない?」
私は首が振り切れるほど否定した。
「全然。あなたはいつも余裕で素っ気なくて。必要最低限しか書きも言いもしないし。いつも早足だし。」
「ああ、それは少しでも気持ちを見せたら、自分で抑制出来なくなるのが怖かったから。」
「あなた、怖がりなのね。」
「君に関してはね。」
「私はあなたに関しては…」
「何?」
「体当たり。」
二人で笑った。心から。
「本当に信じられない。あなたが私を求めてくれるなんて。」
「俺は、まだ君が俺を受けて入れてくれたことが信じられない。」
「どうして?あなたは私のオンリーワンなのに。ずっと探してきて、やっと会えた人なのに。」
「君にはいくらでも他に選択肢があったし、今でもあるから。」
「あなた、もしかして自分に自信がないの?」
「自信はあるよ、勿論。でも、君の前だとわからなくなる。」
「どうして?」
「俺に言わせる?」
「うん、言わせる。」
「歯止めが効かないんだ。君を想う自分に責任が持てない。」
「責任?」
「そう。君を粉々にしてしまっても、きっと俺は後悔出来ないような気がする。」
「望むところよ。」
「えっ?」
「受けて立つ。私が高嶺の花だって、あなた前に言ったよね。」
「ああ。」
「高嶺の本気を見せてあげる。あなたが私を粉々にするか、私があなたをめちゃくちゃにするか。これからが本当の高嶺対不落の闘いよ。」
「闘いって。俺たちは闘わなきゃいけないのか?」
「私が初めて本気で誰かを愛するのよ。その本気度をなめてもらっちゃあ、困る。」
「じゃあ、まずは見せてもらおうか。」
そう言って、大きな身体が覆いかぶさってくる。
「そういう事じゃないって。」
そう言いながらも、私はもうこの人を受けて入れている。身体は正直だ。
最初のコメントを投稿しよう!