18.本当の闘い

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18.本当の闘い

深い息をついて、やっと身体を離した。大きくて温かな身体から。息が上がってしまっている。 「わかった。嵐には三番目の意味があるのね。」 ふふと隣で笑うあなたの瞳があんまり綺麗で覗き込む。 「あなたの瞳、初めて見た時から大好きだった。吸い込まれそうなんだもの。その瞳に凝視されると。」 「凝視ねえ。」 「うん、あの時の会話、本当に嬉しくって何度も脳内再生したんだよ。」 「脳内再生?」 そう言うあなたの温かな手が私の臀部をなでる。とろけそうになる。でも何とか会話を続ける。 「だって…あなたが私を見つめているかもしれない、なんて思っただけで、もうどうしたら良いかわからなくなるほど幸せだったもの。」 「俺はよく君を見つめていたよ。あゆみにも言われた。」 「何て?」 「あの夜、一瞬だけ君の瞳を見つめた時、なんて切なそうにするんだって。恋してるのねってさ。俺より先にわかったみたい。でも、あゆみに言わせれば、端から見たらまるわかりだってさ。だから君もわかってたんじゃない?」 私は首が振り切れるほど否定した。 「全然。あなたはいつも余裕で素っ気なくて。必要最低限しか書きも言いもしないし。いつも早足だし。」 「ああ、それは少しでも気持ちを見せたら、自分で抑制出来なくなるのが怖かったから。」 「あなた、怖がりなのね。」 「君に関してはね。」 「私はあなたに関しては…」 「何?」 「体当たり。」 二人で笑った。心から。 「本当に信じられない。あなたが私を求めてくれるなんて。」 「俺は、まだ君が俺を受けて入れてくれたことが信じられない。」 「どうして?あなたは私のオンリーワンなのに。ずっと探してきて、やっと会えた人なのに。」 「君にはいくらでも他に選択肢があったし、今でもあるから。」 「あなた、もしかして自分に自信がないの?」 「自信はあるよ、勿論。でも、君の前だとわからなくなる。」 「どうして?」 「俺に言わせる?」 「うん、言わせる。」 「歯止めが効かないんだ。君を想う自分に責任が持てない。」 「責任?」 「そう。君を粉々にしてしまっても、きっと俺は後悔出来ないような気がする。」 「望むところよ。」 「えっ?」 「受けて立つ。私が高嶺の花だって、あなた前に言ったよね。」 「ああ。」 「高嶺の本気を見せてあげる。あなたが私を粉々にするか、私があなたをめちゃくちゃにするか。これからが本当の高嶺対不落の闘いよ。」 「闘いって。俺たちは闘わなきゃいけないのか?」 「私が初めて本気で誰かを愛するのよ。その本気度をなめてもらっちゃあ、困る。」 「じゃあ、まずは見せてもらおうか。」 そう言って、大きな身体が覆いかぶさってくる。 「そういう事じゃないって。」 そう言いながらも、私はもうこの人を受けて入れている。身体は正直だ。
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