大きな力

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 あかりちゃんは話を続けます。 「私は、とても大きな力を持ったの。なんだって叶えられるのよ。だから、ある事をお願いしたの」 「……何を言っているの?」 「ひーみーつ! 神様から言われているの。らいと君には思い出させちゃいけないって」  あかりちゃんは悲しそうにうつむきます。  らいと君は心配になります。あかりちゃんが泣いちゃわないかと。 「僕はあかりちゃんが何を言っているの分からない。大事な事を忘れているのなら、謝るよ。もう二度と忘れないよ」  らいと君は必死になって、あかりちゃんに声を掛けます。 「……ありがとう」  あかりちゃんは顔を上げました。  笑顔を浮かべています。  しかし、涙をこぼしています。 「でも、明日にはもう、らいと君は私を忘れている。だって、それが神様との約束だから。思い出しちゃうと、らいと君が不幸になっちゃうから」 「何を言っているんだ!? 僕は絶対にあかりちゃんを忘れない……!」  言っている途中で、らいと君は気づきました。  あかりちゃんの頬に伸ばした両手が、透けている事に。  両手だけではありません。  足元からどんどん透けています。  あかりちゃんはアハハと笑いました。  涙を流しながら笑いました。 「ありがとう。らいと君は分からなくなると思うけど、私は絶対に忘れないよ」 「あかりちゃん、僕は……!」  忘れない。  そんな言葉だけを残して、らいと君は消えてしまいました。 「あーあ、ひとりぼっちか。らいと君、ちゃんと自分の足で歩くんだよ」  あかりちゃんは石橋に両手を置いて、星空を見上げます。 「神様、らいと君だけは幸せにしてね」
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