落しもの

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 私の後ろの席に座る田中君の気持ちは知っている。クラスの女子の間でも噂になっているし、私自身彼からのそういう熱い視線を何度となく受けているからだ。  けれども臆病な彼は私に話かける事も出来ないでいて、これまでに何度もきっかけがあったはずなのに、いまだに一歩を踏み出せないでいる。  私だって彼の事を嫌いではないのだけれど、アプローチは男の子からして欲しいと思っているので私から声をかける事はしない。  だから、今日もきっかけを一つあげるわ。  私がこれから落とす消しゴムを、あなたは無視出来ないはずよ。
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