第二章-1話-

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第二章-1話-

それからしばらく。あの怒涛の1週間が嘘のように平凡な日常に戻った。本当になんだったんだろうか… ひとまず、1年前と同じ平穏な日々が戻って来てほっとしている。 1人うんうんと頷いていると、赤羽から怪訝な目を向けられた。そうそう、あれから赤羽は時々クラスに来てはおれにちょっかいをかけてくるようになった。また東条先輩に絡まれるんじゃ…と少し心配だったけれど杞憂だったみたいだ。まぁ、赤羽と話すのは結構楽しいから絡まれた所で距離を置くつもりはない。 とまた1人でうんうんしていたら、さすがに気になったのか赤羽に 「なにしてるの」 頬をむにっと引っ張られた。 「なんれもないからはなひて」 滑舌が悪くなったおれをみて少し楽しそうに笑ったかと思えば、むにむにと遊ばれる。 「っふ、変な顔」 変な顔ならやめろよ!と言いたかったけれど、随分と楽しそうにしていたから、諦めてしばらくむにむにされていれば、満足したのか最後に頭を撫でて教室を出ていった。 「なんだったんだ…」 こうして気まぐれにちょっかいをかけてきてはいつの間にか居なくなっていたりするので、いまいちよくわからない。 まぁいつものことだし、と自己完結したところで授業の予鈴が鳴った。
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