220人が本棚に入れています
本棚に追加
扉を開くとそこには視界いっぱいの蒼。
「あれ…いない?」
絶対ここにいると思ったんだけどな…なんて思いながら辺りを見渡すと、ベンチに何やら深紫の物体が。
「寝てるし…」
そこにはすやすやと気持ちよさそうに眠る赤羽の姿。
話し相手は寝てしまっていて暇なので、しゃがんで少し観察してみることにした。
少し長い紫の髪が目元に少しかかっている。前髪をさらっ…と流すと伏せられた瞼が現れた。
「やっぱり美形だなぁ…」
普段は割と何を考えているのかよく分からない時が多いが、こうして改めて見てみると、少しあどけなさをも感じさせる。
寝顔を見る機会なんてそうそうないので、まぁせっかくだし、とぼーっと眺めていると、瞼がピクっと動いた。
「赤羽?起きたの?」
声をかけると徐々に目が開いていく。太陽の明るさに慣れないのか何度かぱちぱちと瞬きをしている。
「…なんでいるの」
と、少し寝ぼけたような声で言うので
「かばん、教室に置きっぱなしだったからまだいるかなって」
はい、とカバンを見せた。
「…ありがと」
欠伸をしながら起き上がる赤羽の横に腰掛けると、肩に重みが。
「……」
無言で頭をぐりぐりと押し付けてくる。地味に痛い。
「まだねむいの?」
「ん〜……」
最初のコメントを投稿しよう!