第二章-1話-

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あの後、空が暗くなっても全く起きずさすがに手も疲れてきたので、呼びかけて起こした。 何度か声を掛けると眠そうに瞬きをしながらじっとおれをみてくる。 「そろそろ帰ろう?」 「……うん」 あくびをしながらゆっくりと起き上がった赤羽と一緒におれたちは屋上を後にした。 寝起きでまだぼーっとしているのか、普段より口数が少ない。 ぽつりぽつりと話していると、いつの間にか分かれ道ヘ着いてしまった。 別れ際、頭を存分に撫で回され髪の毛がぐしゃぐしゃになった頃、満足気な顔をして去っていった。 結局あの声のことは聞かなかった。わざわざ聞く必要もないか、と。夢見が悪い時もあるだろう。 「それに、」 誰しも触れられたくない事のひとつくらいはある。 平穏な日々を望むのであれば、不用意に関わるものではない。 我ながら少し冷たいかな、と苦笑しつつ歩みを進める。 それでも、もう二度とあんな思いはしたくないから。 「ただいま」
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