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何故こんな事になっているのか。高級車の後部座席で生徒会長と並んで座って登校するなんて、数分前の自分は全く想像していなかった。
「えっと…仲良くなりたい、というのは…?生徒会補佐の件でしたらお受け出来ないんですけど…」
「あぁいや、そうじゃなくてね。個人的に如月くんのことが気になったから。」
個人的に気になるとはどういうことなのだろうか。やっぱり何かやらかしちゃったのか…?
「如月くん。成績優秀で先生方からの評判も良い、そして何よりあの赤羽くんとも仲が良いみたいだね。」
「赤羽…ですか?」
「そう。彼、今までほとんど学校にも来ていなかったし、東條くん以外と話してる所なんて見たことがなかったからね。どうやって仲良くなったのかなって」
「どう…と言われましても…特に何かした覚えは全くないです」
「…そっか。君はやっぱり不思議な子だね」
「不思議…?ですか?」
「うん。君には人を惹きつける才能がある。だから僕も君に惹き付けられて、仲良くなりたくなってしまったんだよ」
人を惹きつける、か。今まであまり気にした事がなかった。いや、気にしてこなかったという方が正しいのか。
「だから、如月くん。僕とお友達になって欲しいな」
爽やかな、しかしどこか圧のあるような笑顔で微笑まれてしまっては嫌ですとは言えなくなってしまう。
「えっ…と、おれで良ければ…?」
「ふふっ、ありがとう。またお話しようね、如月くん」
いつの間に学校に着いたのやら、生徒会長、天海先輩は車から降りて颯爽と去っていってしまった。
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