2. 人生最初のダサい日

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2. 人生最初のダサい日

 子供は1歳半くらいから自我が芽生えるそうです。  幼少期の記憶は通常3〜4歳くらいから残っている人が多く、自我と記憶がうまく合わさった過去の話を書いてみます。  幼稚園に入り2年目の中盤、気づいた事がありました。  そういえば、同じ組の園児全員の泣き顔を見たぞ…。  やっぱり子供はところ構わず泣いてしまうものなのか。なんて弱いのだ。  みんな気づいてないと思うけど、私は一度も幼稚園で泣いてないよ…!  理由は…人前で泣くのはと思っているから。  不細工な顔になるし、負けを晒すみたいでカッコ悪いじゃん。  このまま泣かずに卒園したら、結構すごいんじゃないか?  この密かな偉業を達成するために、人前で泣かないように、卒園まで細心の注意を払って過ごそう。  同じ組の園児全員が泣いている原因はわかっていました。  担任の先生がどちゃくそ怖いからです。  先生は長身美人で髪型はスローモーションを歌っていた中森明菜ちゃんカット。  怒る時は園児の下の名前を呼び捨てにし、ここには「ちゃん」とか「くん」とか敬称は存在しないんだぞ…とばかりに子供の逃げ場を塞ぎます。  あの先生に怒られると、さすがに怖くて泣いてしまいそうだから、粗相のないようにしよう。  今思うと…先生に怒られないように…、そんな考えが姑息だったのかもしれません。  私の人生最初のダサい日は、人生の教訓のようにやってきました。  その日は、2週間の研修できていた先生が実習卒業の授業を行っていました。  いつもの先生じゃないので、怒られないと油断したのでしょうか……。  先生が緊張しながら園児に説明しているところなのに、なんと私は席を立ち伸びをして歩き周ったのです。  次の瞬間、車に轢かれたような強い衝撃を覚えました。  隕石が突然、幼稚園に落ちてきた…!わけではなく、単純に監視役として教室の隅で控えていた担任の先生が私を突き飛ばしたのです。  おそらく先生は声を出して授業を邪魔してはいけないという配慮から、無言で私を押したのでしょうが……予想外の突きに私はバランスを崩し半ば逆さまになって椅子と机にぶち当たりました。  生命の危機を感じた私は思わず…  くぅぅぅ。………泣いてしまったのです。  ああ……せっかく頑張ってきたのに!  なんで席を立ってしまったのだろう!  怖い先生に怒られるのは容易に予測できたのに!  人生油断は禁物です。  また、人をなめた行動に出ると後で痛い目みます。  ダサいにつながり脱線しますが、先日ブレイク中の若手俳優がひき逃げ事故を起こし警察に捕まりました。  スタイルが良く覚えやすい顔のイケメンで、演技力が高いので応援しておりました。  彼は不祥事のためお蔵入りになったバラエティー番組で「ダサいことはしたくない」と発言していたそうです。  彼に言いたい…。 「ダサいことはしたくなくても、油断や思慮の浅さでダサいことになる可能性があるんだよ。」  誰にも伝えたことがない、お話を書け清々しい気分です。  読んで頂き有難うございました。    
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