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僕は鞄の中を漁るが、出てくるのは札束だけだ。
……………。
あ、たまが、、たい、、
お、もいだす、、な、
あた、、ま、割れ、、る、
「ギャーッハッハッハッハッハッハッ!!!!!!」
「おい、冴島を抑えろ!」
数人の男達が俺を抑え始める。
「ギャハッハッハッ!!!!!!!!」
俺の名は、冴島 賀二郎だ。
このサツの言う通り、俺は昨晩銀行強盗をした。
俺にとって、金はただのストレス発散でしかない。
そんな金を使わないまま保管したままにするなど、俺は勿体無いと思った。
早く金を使いたい。
早くギャンブルをしたい。
その一心で俺は鞄を抱えて、銀行から走って出た。
だが、走り続けるうちに、本当にこれで良いのか、このままの人生で良いのかふと考えてしまった。
そんなことを考えてしまったばかりに、一瞬注意力を手放した俺は、よじ登った塀から足を滑らせ転落した。
俺の体がどれだけ丈夫だったのか。
その場を走って逃げたが、体は丈夫でも頭はそうはいかない。
頭が割れるほどの痛みに耐えられず、俺はこの公園で一晩を過ごしたのだ。
「はやく!!!!俺に!!!!金を使わせろ!!!!!!!!!ギャーッ!!!!!!」
「逮捕!」
今日も、この公園には風が吹く。
正義だろうが悪だろうが関係なく、風は何かを動かす。
俺の落とし物は、最低なものだったのかもしれない。
ずっと落としたままの方が良かったのに。
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