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除幕
「その羽衣は私のものです! 返してください!」
「いいえ、これはぼくが拾ったものです。返せません!」
むかしむかし、因幡国(今で言う鳥取県東部)の山の中、とある貧しい村にある池の前で、一人の若い女性と、矢尻を持った狩人らしき12歳ぐらいの少年が言い争いをしていました。
少年が手にしているのはとても綺麗な羽衣です。それは天女が地上に水浴びに来た時に、落としてしまったものでした。
「それが無いと私は天の世界に帰れないのです。お願いします!」
それを聞いた少年は少し考えて、
「わかったよ。ならばぼくに舞を見せてくれないか、それなら考えるよ」
天女はうなづくと、少年の前で綺麗な踊りを見せました。それはそれは美しい舞で、この世のものとは思えないもので、彼はすっかり見とれてしまいました。
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