終幕

1/1
前へ
/7ページ
次へ

終幕

 やがて少年とふたりの兄妹も大人になったある年の夏、天女が彼に言いました。 「そろそろ、私が来なくてもやっていけるのではないですか?」  しかし彼は首をよくに振り、 「あなたがいなければこれまでのことはありませんでした。そして今では……、あなたが好きです。一年に一度でもかまわない。夫婦になってくれないか?」  天女は驚きましたが、それでよければ、と、二人は夫婦の契り(ちぎり)を結びました。  その後、二人は年に一度だけの逢瀬(おうせ)をつづけましたが、子宝にも恵まれ、たいそう幸せだったそうです。  このことはのちに七夕様の伝説になったそうです。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加