役者、侑人と仕事がしたいっ!

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 ―――こんなはずじゃなかった……  自分の番に出忘れマイクワークすらままならず、養成所の練習生の方がうまいのではないかと思うような結果に陽輔は項垂れた。  リハーサルはよほどのことがない限り基本的には失敗してもそのまま続く。  その一回が重要なのだが、今回は台本もしっかり読めていたかも怪しい。  落ち込む陽輔の周りでは他の三人が楽しそうに談笑している。  今更、仲の良い三人の間に入る気にもなれず落ち込んでいると、横から背中を叩かれた。 「狗神くん、すごいな!活舌は綺麗だし、普段から練習しているのがすぐわかるよ!声で仕事取りたいなら二人もちゃんと見習ったほうがいいぞ」  侑人にそう言われれて初めて、三人の話題が自分のことだと気づかされた。  素乃のような可愛らしい女の子が目を輝かせ陽輔のファンだと言ってくれるのもうれしくないわけではないが、憧れの人に褒められる方が何倍もうれしい。  だが、リハの要領の悪さはお世辞にもよかったとは言えるものではない。 「でも、収録室入ってからずっと調子悪そうだけど大丈夫か?」  どうやら、侑人たちには体調が悪いように見えていたようだ。  確かに風邪でも引いたかのように体が熱くなったり、ボーっとしてしまったのは事実だが原因は間違いなく憧れの人がそばにいることに気づいたからだ。
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