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事前にアニメくらい少しチェックしておけばよかったと後悔していると、明かりの消えた舞台から楽し気な笑い声が響いた。
再びあかりが灯ると先ほどのヒーローたちとは違い、ボロを纏った黒髪に猫耳を付けた女の子と小鹿のような角を付けた茶髪の背の高い男がケタケタと笑いながら何かを話している。
二人から少し離れたところで灰色の鳥の被り物をした白い髪の男がじっと座り込んで観客席の方を見つめて……いや、睨みつけているようだ。
3人ともにゃんこ戦隊の仲間かと思ったが、敵の下っ端のようでボロボロになった他のメンバーの話をしつつ、不自然ではないように世界観を説明しているようだ。
「もっと強い大悪党なら、にゃんこ戦隊に勝てるのかなぁ。」
茶髪の男の『大悪党』という言葉に反応し、それまで岩のように固まって動こうとしなかった鳥の被り物をした男が動き出した。
「なにっ!オイラのことかっ!!」
先ほどまで岩のように固まって動こうとしなかった取りの被り物をした男が馬のような格好の男と猫耳を付けた女の子を押しのけこのステージは自分のものとでも言わんばかりに前に飛び出してきたのだ。
「そうさ!オイラが将来有望な大悪党!ウサビロコウ様だ!!」
スポットライトでもあたっているかのように煌びやかに飛び出したウサビロコウを押しのけられた二人は呆れてみてる。
突然の出来事にさきほどまでの眠気はどこへやら、陽輔は目を見開き驚いて舞台の方にくぎ付けになった。
じっと見ていると、不自然に赤い目がこちらに向いた。
「ああーん??なんだお前、文句言いたげな顔しやがって……」
先ほどの楽しそうな顔とは違い不機嫌そうにギロリとウサビロコウと名乗った男は睨み悪態をつきながら歩み寄ってくる。
横では弟が不安そうな視線を送り、陽輔の腕をぎゅっと掴み怯えているようだ。
今にも陽輔の襟首を掴み、殴りかかりそうなくらい凄まじい剣幕で近づくウサビロコウに陽輔も背筋がぞっとするのを感じた。
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