30人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
見た目も声も決して華があるタイプではないが、少し高めの声は聞き心地がいい。
低く色気があると言われる陽輔の声とは全く逆のタイプだ。
自分も名前を名乗り、挨拶をするため口を開くと元気な女性と男性の声が割り込んできた。
「ウサにぃー!」
「ウサ兄さん!!」
そういえば、ウカと名乗る男以外に共演者がいたことを思い出した。
おそらくこの二人は一郷 素乃と高久 奏良だろう。
どうやら三人は知り合いのようでお互いをニックネームで呼び合っていた。
ウカと名乗る男の本名はウサがつく苗字か名前か……
源氏名は本名に近い人もいるからもしかしたら、名前の方にウサが付くのかもしれない。
「おいっ!ステノンとタカラー!本日のもう一人の主演にちゃんと挨拶しろ!」
二人が陽輔に気づかず、話をし始めるのを叱る姿は確かに二人の先輩のようではある。
だが、今回限りの仕事仲間なんて何の興味もわかない。
陽輔は挨拶だけをかわすと、三人の話を適当に聞き流すことにした。
最初のコメントを投稿しよう!