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カモメになった私は、翼を広げ、海上を飛んだ。
深く陰る青い海。
波打つ水面に、弾けて現れる陽の輝きは、飛び魚の両ビレにしたたる海水の滴であった。
飛び魚の背をついて、私は大空に帰っていった。
広がり吸い込む青い空。
私は、カモメのクチバシの間で、最後の一息を吐いた。
暗闇に、稲妻が走る。
皮膚が、肉が、血が、震える。
鋭い痛みが背に走り、そして消えた。
恐怖は去り、広がる安らぎ。
私は味わい、一つになる。
どこまでも限りなく広がる、深い、青。
目に映るのは、空飛ぶカモメ、海跳ねる飛び魚。
望むまま見続ける。
カモメになって、飛び魚になって。
私は、その先にある青を知っていく。
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