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写本制作室 ―スクリプトリウムー 1
序
『死』はまるで真昼の星のよう。
人は陽が輝く天空にも、星があることに気づく者はすくない。
けれど、真昼の空に星はある。
見えはしないが静かに天空を巡る。
私たちに、いずれ死が訪れることが確かなように道を刻む。
…地上のただ一人を除いて。
確かにある。しかし、見えない存在。
我々はその人を密かに呼んだ。『真昼の星』と。
これは我が師匠から聞いた話である。
師匠は人生を写本作りに捧げた。長く修道院図書館の写本制作室長を勤め、先頃亡くなられた。
晩年には記憶の混乱が生じたが、私はこの話を幼きころより繰り返し聞いた。
幾人かの伝聞を照らし合わせるに、師匠の話は真であると信じるに足りる。
いつかこの辻褄の合わぬ出来事に答えが得られることを切に願う。
北西ラァス修道院図書館付き書写生 ケビン
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