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空に散らばる星から見れば、俺たちの落し物も星が流れるような一瞬の出来事なのだろう。
今、失くしたものに気付いて流すこの涙もやがて乾いて、いつかは何もかも忘れ去られた落し物となるのは言うまでもない。
ああ……次に落し物をした時は気づけるようになりたい。
やはり、儚く貴いものには変わりなかったから。
でも一方で、少し失くしてほっとする自分もいるらしい。
いや、失くしたことに気付いてほっとしているのか。
今持っているものは失くさないようにしなくちゃな。
そして失くしてしまった落とし物には最後のありがとうを伝えたい。
だから俺はまだ暫く流れる涙を眺め続けていよう──。
この涙が枯れるまで。この涙が乾くまで。
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