119人が本棚に入れています
本棚に追加
同刻。
アパートに独り残された雪白は、そわそわと落ち着かない様子で、啓太の帰りを待っていた。
一体、何処に行ったのだろう?
いっとう可能性が高いのは、例の『学校』という建物だ。あの場所で兎を殺してから、啓太は急によそよそしくなった。雪白が話し掛けても、虚ろな生返事が返ってくる。
啓太は、以前の様に、優しく笑い掛けてくれなくなった。
勉強を教えてくれる時も、どこか上の空。
そうして時折、困ったような顔をして雪白を眺めている。
やはり兎小屋の一件だろうか⁇
殺してはいけないと叱られたが──何故?
どうして殺してはいけないのか、雪白には、まだよく解っていなかった。
命を奪う事に、良心の呵責など感じた事が無い。何故なら、生き物は、すべからく他の命を奪う事で腹を満たし、命を繋いでゆくものだからだ。
最初のコメントを投稿しよう!