【八】白の革命。

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 同刻。 アパートに独り残された雪白は、そわそわと落ち着かない様子で、啓太の帰りを待っていた。  一体、何処に行ったのだろう? いっとう可能性が高いのは、例の『学校』という建物だ。あの場所で兎を殺してから、啓太は急によそよそしくなった。雪白が話し掛けても、虚ろな生返事が返ってくる。  啓太は、以前の様に、優しく笑い掛けてくれなくなった。 勉強を教えてくれる時も、どこか上の空。 そうして時折、困ったような顔をして雪白を眺めている。  やはり兎小屋の一件だろうか⁇ 殺してはいけないと叱られたが──何故? どうして殺してはいけないのか、雪白には、まだよく解っていなかった。  命を奪う事に、良心の呵責など感じた事が無い。何故なら、生き物は、すべからく他の命を奪う事で腹を満たし、命を繋いでゆくものだからだ。
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