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その時である。
無音の部屋に、ドアチャイムの音が響き渡ったのは…
「だれ?」
啓太が帰って来たのではない。
これまでも、帰宅時にドアチャイムを鳴らしたことなど無かった。
「………」
雪白は、啓太に教えられた通りに、ドアスコープから外を覗く。一人で留守番している時のルールだ。丸い覗き窓の向こうには、見知らぬ若い男が二人立っている。雪白は、足音を立てないように、そっと後退りをして居間に戻った。
あれは誰?
知らない顔だ。
郵便屋さんでも、宅配業者でもない。
黒い服を着た顔色の悪い男と、同じく黒い服を着た痩せ型の男である。見覚えが無いのに──何故だろう?
それらと関わってはいけないと、心が警鐘を鳴らしていた。
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