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白い天井と白い壁。
消毒された清潔な部屋で、啓太は目覚めた。
覚醒したばかりの意識は朦朧としていて、上手く思考が回らない。まるで脳に鉛を埋め込まれたように、重く怠く、青年の知覚を淀ませていた。
「ここは…どこだ?」
虚しく消える独り言は、掠れて音にならない。
ぼやける視界が、ゆっくりと焦点を結ぶと──啓太は、漸く自分が置かれた場所を理解した。
「病院…?」
腕に刺さった点滴のカテーテル。
天井から床までを覆うカーテンが、ベッドの周囲をぐるりと囲んでいる。どうやらこの部屋には、自分の他に、数名の入院患者がいるらしい。先程から、絶えず微かな物音が聞こえていた。
「………。」
テレビ台のデジタル時計は、AM10:23を表示している。だが、日付が解らない。置かれたままの薬とコップ。ぼんやりと灯る照明。頭上には、山城啓太と書かれた名札が掲げられていた。
啓太は、両腕に力を込め、ゆっくりと上体を起こす。その途端、
「痛っ──!」
鋭い痛みが走って、思わず頭を抱えた。
頭蓋にぐるぐると巻かれた包帯に気付いて、自分が大怪我をしている事に気付く。この怪我は、一体…?
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