年下男子と、××生活はじめました。

ボーダーライン

耳に入ってくる、わたしのときとは違う、ミズキくんの女の子たちへの接し方に、なんだかモヤモヤする。まったくの別人みたいだ。

あの子たちは、わたしの知らないミズキくんを知っている。やりとりが、それを物語っている。

ーーーそっか。

わたしは、気がついてしまった。いや、逆にどうしてこんな簡単なことに気がつかなかったんだろう。

ーーー彼女でも、彼のファンでも、ましてやきちんとした友達でもない、そんな楽した関係のわたしが、出しゃばるマネは許されないんだ……

目先に広がる光景を見て、わたしは引かれた線(ボーダーライン)を感じた。
何かを言える立場じゃないことがはっきりしてしまった以上、ここにいる意味がないと思って、わたしはこの場を後にした。

ーーーこんな関係、長く続けるものじゃなかった。数回会うだけで、終わりにすればよかったんだ。

「予定が決まったら、会える日連絡するね」と伝えていたけれど、「新しい仕事を任されてしまったから、しばらく会えないかも」とメッセージを送って、ミズキくんとはしばらく距離を置こうと思った。これは、冷静な判断ができるようになるために必要なんだと、自分自身に言い聞かせて。

そんな自分勝手な行動が、彼を追い込んでいたとは知らずに。