止まったままの時間

4/5

93人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
やってきたのは、ミズキくんが住んでいるアパートだった。 信夫さんは、なんのためらいもなく、部屋のドアを開ける。すると、異質な感じが中から漂ってくる。 最初、それがなんなのか、わたしにはわからなかった。 「…入ってください」 促されるまま、わたしは中へ入り、奥へと足を進める。 そして、最初に感じていたが、ようやくわかった。 「…っ……!」 目の前に広がる光景に、わたしは思わず両手で口をふさぐ。 布団で眠るミズキくんは、安らかな顔をしているけれど、そこからはみ出して伸びた左腕、手首に頑丈に巻かれている包帯が見えた。 彼が、自傷行為をしたのだとわかった。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

93人が本棚に入れています
本棚に追加