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やってきたのは、ミズキくんが住んでいるアパートだった。
信夫さんは、なんのためらいもなく、部屋のドアを開ける。すると、異質な感じが中から漂ってくる。
最初、それがなんなのか、わたしにはわからなかった。
「…入ってください」
促されるまま、わたしは中へ入り、奥へと足を進める。
そして、最初に感じていた異質が、ようやくわかった。
「…っ……!」
目の前に広がる光景に、わたしは思わず両手で口をふさぐ。
布団で眠るミズキくんは、安らかな顔をしているけれど、そこからはみ出して伸びた左腕、手首に頑丈に巻かれている包帯が見えた。
彼が、自傷行為をしたのだとわかった。
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