彼の正体

2/7
93人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
「……訊きたいことが、たくさんあるの」 「はい。おれが答えられることは、なんでも話します」 「……このまま、お布団の中、入ってもいい?」 「上着脱いでからなら、どうぞ」 わたしたちのやりとりを見守っていた信夫さんが、そろそろ帰ると言って出ていき、ふたりきりになった。 上着を脱いで、布団の中に入らせてもらう。 そして、ぎゅっと彼の頭を抱えるように抱きついた。 「…お姉さん、くっついてくれるのはすごくうれしいんですけど、ちょっと苦しいです」 「…あ、ごめん」 「ふふっ、いいですよ。まず、何から話しましょうか」 最初に訊きたいのは、もちろん決まってる。 「……あなたの、本当の名前は、なんていうの?」
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!