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「……ミハルです。漢字で書くと、瑞々しい春。1月生まれなんですけどね、冬じゃなくて春なんです」
「…素敵な名前だね。これからは、ミハルくんって呼んでもいい?」
「いやだ……って言いたいところですけど、お姉さんの頼みなら、仕方ないですね」
「ありがとう、ミハルくん」
「…そういえば、信夫さんは、お姉さんにどこまで話したんですか?」
「えーっと……」
「おれに15歳上の兄がいるのは」
「うん。聞いた」
「プロ野球選手だったってことは」
「うん、それも聞いた」
「じゃあ、プロになってから数年経って、自殺したっていうのは」
「…うん。教えてくれた」
それも、ミハルくんの誕生日に、鎮静剤を多量摂取して湯船で倒れているのが見つかったということも。
自ら命を絶った原因は、度重なる誹謗中傷だと見られているそうだ。真面目な性格ゆえ、受け流すことができなかったのだろうと考えられている、と信夫さんが教えてくださった。
この部屋の壁に貼られたあのカレンダーは、お兄さんが当時使っていたもののようで、はなまるもお兄さんが付けたらしい。
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