真相は……

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真相は……

「店長、買取さんが来ました」 「おう」  内線の受話器を置く。質店奥の事務所にジェラルミンケースを持った黒服の男が入って来た。ブランド品を中心に、転売可能な高級品のみを買い取る専門業者だ。  本日の商品は7点。海外ブランドのバッグが2点、サイフが1点、高級腕時計が2点に、ブランドのネックレスと、ノンブランドの指輪が各1点。  買取屋は、電卓をはじきながら次々に査定していく。最後に白手袋の指先で、金の指輪を摘まみ上げた。 「へぇ……古いデザインだけど良いリングだね。店でも売れるだろ。出さないの?」 「ああ。ちょっと事情がな」  この指輪は、実に上手く手に入った。  質流れ品を買いに来た男は、預けられていた現物を知らなかった。ご丁寧に電話で事情をバラしてくれたが、ソイツは好都合というものだ。ダイヤ付の金の指輪などゴマンとある。実際――たまたま売れ残っていた別の安物を渡しても、まるで気付かなかった。  それでも、万一ということがある。表に出さずに捌くに越したことはない。全くもって、ボロ儲けだ。どういう謂われの代物か知らないがね。  買取屋は、慎重に鑑定していたが、ルーペを右目から外して1つ頷いた。 「5万でいいかい」 「相変わらず、(から)いねぇ」  顎髭を撫でながら、店長はほくそ笑んだ。 【了】
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