はじめに

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はじめに

 特発性過眠症という病気の患者は”睡眠発作”と呼ばれる “強烈な眠気” に日々襲われています。  少しだけ、病気について説明させて下さい。  まず、この病気は  通称 『居眠り病』『怠け病』   と、呼ばれています。  そして、 「どんな眠気?」 と、聞かれた時、私は 「三日徹夜した後に来る眠気の10倍ぐらい」 「睡眠薬を飲んだ上で日常生活送ってる感じ」  と、答えています。  意思や、根性でどうにかなるレベルの眠気ではないのです。  街中を歩いていて、突然立ち止まったかと思えばすでに寝ている。  立ったままでです。  正直、ゼンマイ仕掛けのおもちゃのように思えます。  そして、その他にも  ・金縛り  ・リアルな悪夢(入眠時幻覚)  ・自動症    と、多岐に渡ります。(これは、作中で紹介させていただきます)  そんな私達が生活していく上で、立ちはだかる大きな壁とは、  この、病気の 『認知度の低さ』  です。  簡単に言うと、この様な病気があると言う事を殆どの方が知らないのです。  皆さんに1つ簡単な質問があります。  仕事中や、授業中に寝ている人を見かけたらあなたはその方をどう思いますか??  私の経験で申しますと、寝るべきでない場面で寝ている人は、ほとんどの場合悪い印象を持たれてしまいます。 やる気がない だらしがない 怠け者 見てて不快 サボっている ムカツク 自己管理のできない奴 グータラ etc.  そして、 注意される 怒られる 呆れられる 信用を失う のです。(当然ですよね)  私自身、患者側の人間でなければ、やはり間違いなくその方に対して悪い印象を持ってしまうと思います。  まさか、 “病気の症状で寝ている” なんて思いませんよね。  認知度が低い為 “病気で寝てしまう” という事を伝えても信じてもらえないケースが多々あります。  酷い時は、 「眠いのはお前だけじゃない!それを、病気だと言い出したらみんな病気だ!!甘えた事言うなっ!」  などと言われてしまうのです。  そして、本人がこの病気だと気付いていないケースも多々あります。 ・朝が起きられず遅刻する。 ・業務中(特に会議中や、営業先)で寝る。 ・テスト中(特に受験中や、面接中)で寝る。 etc.  みんなが、当たり前にやれていることができなくなると言う事はものすごく自分にプレッシャーがかかります。  ましてや、それがただ “起きている” と言う極々基本的なことだとすると、余計にです。  そして、努力しても努力しても出来ないと気づいた時、自分自身に牙を向けてしまう時が来ます。 私は、タダの足で纏いだ⋯⋯ ただの、役立たず⋯⋯ 会社のお荷物でしかないの? 私なんか、必要ない    ・    ・    ・ もう⋯⋯消えて⋯⋯しまいたい  自分で自らを傷つけてしまう、追い込んでしまう、その前に知って欲しいんです。  教えてあげて欲しいんです。  こんな病気もあると言うことを。  悪いのはあなたじゃない。  病気のせいなのです。  あなたが傷つく必要は本当は何一つないのです。 「私は、眠くならないから関係ないか!」  なんて、冷たい事は考えないで下さい。  あなたの身近な大切な人や、お子さんが今後発症してしまうかもしれません。  もしくは、その大切な人が既に発症しているかもしれません。  だから、一人でも多くの方達に知っておいてもらいたいのです。教えてあげて欲しいのです。  例えわずかでも構いません。  頭のほんの片隅にでも、この病気の事を覚えていて頂けたら嬉しいです。  知っていただくことによって、同じ患者さん達が少しでも生きやすくなれば、そして優しい社会になれば幸いに思います。
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