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目が覚めて
ガタッ!
何かが倒れる物音に私は目を覚ます。
真っ暗な寝室、カーテンを閉め忘れた窓からは満月の光が淡く差し込み部屋を微かに照らしていた。
ここは、私の部屋。
12階建てのマンションの最上階。
窓からの景色を遮るものは何もなく、綺麗な満月が見えていた。
私の名前は 『若宮咲希』
愛知県名古屋市出身 名古屋市在住
現在、年齢30歳
中学、高校とソフトテニス部に入り、共に部長をしてきた経験がある。
いろいろ職を転々としてきたが、今は小さな工場にて正社員として勤務し6年が経っていた。
カチッ
私は、その光を頼りにベッドの枕元にある小さな間接照明を着ける。
オレンジ色の淡い光が私を包むように広がる。
白をベースにし、ピンクのラインのはいったパジャマを着た自分の姿が、明かりに少しずつ慣れた目に写りこんでくる。
「⋯⋯しかし、このパジャマ⋯⋯アハッ!やっぱ趣味悪いよねぇ。
まぁ、いいんだけど。」
たいして物欲のない私は、彼氏につい昨日⋯⋯
「なにか欲しい物はないか??」
と聞かれた際、悩み抜いた揚句出た答えが
”パジャマ”
だったのだ。
気を良くした彼氏がその日に選んでプレゼントしてくれたのが、この”パジャマ
”だったりする。
だが、そのセンスといったら⋯⋯。
「いや、せっかく買って貰ったのに文句言っちゃ駄目か!
私、物欲もないし、ねだることもないとはいえ、買って貰ったのって久しぶりだしねっ!!」
などと、独り言を言っているとフッと大事な事を思い出す。
「そういえば、さっきの音ってなんだろう??
その音で目が覚めたんだったよねぇ。」
音のした方を確認すると、どういう訳かベッドの脇の小さな箪笥の上に置いてある置き時計が倒れている。
「えっ!?
な~に?? もう、これの音??」
まだまだ重い目蓋を擦りながらも、私は手を伸ばし時計を起こす。
「⋯⋯なんだ⋯⋯まだ、2時かぁ。
でも⋯⋯なんでこんな物が倒れたんだろう??」
その時計は30cm近くあり、写真も入れられる割りと大きなタイプ。
正直なところ、今まで少々地震が来ようと倒れた事は一度もない。
その時計の横には、いよいよ来週に結婚を控えた彼氏との思い出の写真が、何枚も綺麗に写真立てに納めてある。
その中には、先日衣装合わせをした時の写真もあった。
「⋯⋯いよいよ、来週かぁ」
私は、その写真立てを手に取り、思わず頬が緩む。
「ここまで、来るのに⋯⋯ウフッ。
ホント、いろいろあったなぁ。
一緒に笑ったり、泣いたり、時には喧嘩したり⋯⋯」
私の脳裏にこれまでの彼との思い出が次々と広がり始めた⋯⋯
その時⋯⋯
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