目が覚めて

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 ”諦めるなっ!!” (えっ??)  私の脳裏に突如響き渡る声。  それは、彼氏の声だった。  私は、過去何度となく ”諦めるなっ!” と、いう言葉を彼に掛けられ続けていた。 ――――― 「⋯⋯なぁ。おめぇ、なにかに付けて諦めるのはえ~よ!!」 「えっ?⋯⋯だって、できないんだもん!」 「⋯⋯だもんじゃねぇよ! 始めっからできる奴なんていねぇって!! できねぇんなら、できるまでやってみなよ!! 教えてやっから!! まったく、すぐ諦めやがってっ!!」 「できないんだから、やってくれればいいじゃん!! もぉ~、冷たいなぁ!!」 「いや⋯⋯だから~冷たいとかそういう問題じゃなくって、オレとか助けてくれる人が回りにいなかった時、一番困るのはおまえなんだぞ!! だから、簡単に諦めんなっ!!」  諦めんなっ!!  諦め⋯⋯ ――――――― (⋯⋯んな。 あき⋯⋯ら⋯⋯ 諦め⋯⋯⋯⋯)  ”諦めんなっ!!” 「ッツ?!」 (うん。 そうだね。 私、諦めない。 こんなとこで⋯⋯終わりたくない)  私は『キッ!!』と決死の目で玄関を見る。  すると、玄関の横の壁に赤枠に囲まれたボタンが目に入った。 (非常⋯⋯用⋯⋯ベル??)  あれ⋯⋯あれさえ⋯⋯⋯⋯  ⋯⋯あれさえ鳴らせれば⋯⋯  這いながら  それでも、少しずつ少しずつ確実に出来る限り早く進んだ。  振り返らない。  泣き言は言わない。  そして、諦めない。  ただただ、目標に向かって突き進む。 (⋯⋯着いた。 あとは、押すだけ⋯⋯) 「⋯⋯ぅう。っくぅ~!!」  ジリリリリリリリッ!! (やった! お願い。誰か⋯⋯誰か来てっ!!) 「いや、違う⋯⋯まだ、 まだ、終わってない。 頼っちゃダメ。 ここから、出なきゃ。 諦めちゃダメ。諦めちゃ」  ガチャ!!  玄関の鍵を空けたその時⋯⋯  ガシッ!! 「えっ??」  ズルズルズルズルズルズルッ!! 「いやーーーーーーッ!!」  両足を掴まれ、俯せのまま一気にリビングまで引きづられていく私。 「いやっ!!離してっ!! ぃやだぁ!!」  ガシッ!  ガシッ!  ガシガシッ!!  “それら” は、必死に抵抗し、ばたつかせる両手足を押さえつける。  手の空いてる最後の “それ” が背中へと飛び掛かってきた。 「ぅぐっ! ゲホッ!ゲホッ!」  後頭部から髪を鷲掴みにされ首をグイッと起こされる私。  これからされる事を見ろと言わんばかりに。 「⋯⋯いやっ! やだっ!!」  開かれ⋯⋯ 「うッ⋯⋯ぅうう。」  伸ばされ⋯⋯ 「⋯⋯ダメッ!! そこは⋯⋯お願い⋯⋯ やだっ! やめてっ!! イヤーーー--------ーッ!!」  一気にっ!!  ズシュッ!!  視界に閃光が走ると同時に、激痛で全身が跳ねっ返る。  しばらくビクッビクッと痙攣を繰り返す私。 「ハッ⋯⋯ハッ⋯⋯あぐっ⋯⋯ ッッ!!ッツ⋯⋯った⋯⋯い⋯⋯」  吹き出す自らの鮮血を見せられながら、徐々に意識が遠退いていく。 (⋯⋯⋯⋯君。 わ⋯⋯わた⋯⋯し 諦め⋯⋯なかっ⋯⋯た 最後まで⋯⋯諦めな⋯⋯) ⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
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