駅で寝る

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「お姉ちゃんたら、可笑しいこと言ってー」  智花は美裕が冗談を言ってると思ったようだ。それはそうだろう。妖なんて自分でも信じられない。 「やっぱ、変?」 「狐の尻尾のキーホルダーとかあるじゃない。それを付けてたんだよ。上手く騙されたんじゃない?」  それにしては美裕がウエットティッシュで綺麗にしたことを知っていた。渋谷から美裕について来ていたのだろうか。美裕はそれほど美人でもなければ可愛くもない。男の子なんて縁が遠い存在だ。 「来週、渋谷に行って確かめて来るよ。それにまた会いたいんだ」  美裕はそう言ってお腹を摩った。昨日は夕方に駅の売店でソイジョイを食べただけだから空腹の限界だ。ギュウギュルル、タイミングよくお腹が鳴る。 「お姉ちゃん、お腹空いてるの?」 「うん、下に菓子パンあった?」 「メロンパンが袋で買ってあったよ。持って来てあげようか?」  智花は立ち上がった。美裕は笑顔で答えた。 「ありがとう、熱があるんだ」  メロンパンと智花がチンしてくれたホットミルクをお腹に入れる。昨日というか今朝寒いところで寝たせいで身体が怠い。風邪をひいてるのに駅で寝るなんてよくなかった。美裕は布団に潜り込んだ。
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