駅で寝る

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 お稲荷さんに着く。鳥居の前に金色をした狐の置物が左右にある。稲荷ずしを供えるとこの前の男の子が出て来ないか辺りを見回した。後ろにお洒落な自転車屋さんがあって、中の人影がサッと動いた。美裕は目の前にある店の人なら何か知ってるんじゃないかと思ってビーチクルーザーが並んでいる自転車屋さんに入って行った。金狐が居た。 「あっ」 「あれ、君は大宮駅の……」 「そうです。今日お礼を言いに来たんですよ」 「僕もまた会いたいって思ってたんだ。だからまた先週のバンドのライブがあったら行こうと思って調べてたんだよ」  うわあ、マジで?美裕は男の子にそんなこと言われたことがない。 「ここで働いているんですか?」 「うん、土曜日と日曜日にバイトしてるんだよ。この前は騙して悪かった。僕は金狐じゃないんだ。君が可愛かったからついて行ったんだよ」  美裕は照れくさくなって両手で顔を覆った。自分は容姿に自信がない。それに比べてこの子はモテるだろう。大人っぽい顔立ちだし。
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