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「今日はそれだけの為に渋谷に来たの?」
「ううん、ショッピングもしようと思って」
「じゃあ、五時にハチ公前で待ち合わせしようよ。今日は早上がりさせて貰う。夕飯を食べない?」
美裕は頷いた。今は一時だからショッピングしても三時には暇になりそうだがスタバで時間を潰してもいい。そうだ。財布の落としものが無かったか派出所にも訊きに行かなければいけない。中身はそんなに入ってなかったがヴィヴィアンウエストウッドの財布は気に入ってたし高かった。まあ、それを落としたから金狐に会えたんだが。そうだ、金狐って名前じゃないんだ。
「あの、名前を教えてくれない?」
「ああ、僕は琉太っていうんだよ。君は?」
そうだ。自分の名前も名乗ってなかった。
「美裕、高校二年生なの」
「へえ、じゃあ僕と同い年だ。埼玉県に住んでるんでしょ。僕は都内だよ。あ、話の続きは食事しながらにしよう。そんなに豪華なものは無理だけど奢るよ。本物のお金で」
琉太は笑う。美裕はうんと頷いて自転車屋さんを出た。来た道を引き返してまたコンビニに寄る。出費は最低限にしたいがお腹が空いた。夕飯は奢って貰えるみたいだし、肉まんを買おう。
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