駅で寝る

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「これをおでこに当てて、そうだ、温かい飲み物を買って来てやる。ミルクがいいだろうけど自動販売機には無いな。ミルクティーでいい?」  美裕は頷いた。出来るだけ悪化させない方がいい。今は日曜日の朝だ。一日寝てれば治るかもしれないが月曜日はテストがある。受けられなかったら大変だ。この前のテスト結果が最悪だったから美裕は今回に賭けている。ライブに行っちゃったけど行き帰りの電車の中では教科書を開いていた。でも、そうだ。お金がない。 「私、財布を落としちゃったからお金がないの」  金狐は目の端を光らせてクスっと笑う。 「大丈夫だよ。葉っぱを持ってる」  そうだ。葉っぱ。なんだか良心が痛いがあとでコンビニか何処かで恵まれない人に寄付しよう。  金狐はスタスタと自動販売機の前に行くとミルクティーを二つ買った。ジャケットの裾のところから金色の尻尾がはみ出していた。  美裕は横になった。熱があるせいか思考がはっきりしない。頭がボーっとする。 「ほら、これ飲んで」  美裕は起き上がってペットボトルを口に付けた、 「美味しい……」  茶葉の香りと甘い味が口中に広がる。金狐は心配そうに目をしばたたかせる。とてもいい子みたいだ。  美裕はもう一度横になった。五時半まで少し寝よう。少しでも体力を温存しないと帰りにへばってしまう。美裕の家はここ大宮駅から一時間かかる。
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