駅で寝る

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 玄関を開けて自室に行く。今日は日曜日なのでまだ皆んな寝てるようだ。お母さんもお父さんも子供には無関心だ。お母さんは保険の仕事でいつも家に居ないし、お父さんは歓迎会だ、送別会だ、と言って飲み会ばかりしている。家では両親が寝ている姿しか知らない。だが美裕には仲のいい妹がいる。二階にある美裕の隣の部屋だ。起きた気配がしたら訪ねて行って金狐の話を聞かせたい。  棚の上にある薬箱から体温計を取った。熱は三十七度。朝だから少し下がっているのだろう。美裕はパジャマに着替えた。八時くらいまで寝ていよう。  トン、トン。  トン、トン。  ノックの音で目が覚めた。美裕は起き上がる。 「はーい」 「お姉ちゃん、入っていい?」 「いいよー。私も話があったの」  妹がセーターにデニムパンツで入って来た。妹は美裕に似ていない。美裕が猫顔だとしたら妹の智花(ともか)は柴犬のような犬顔をしている。智花は中央に置かれたガラステーブルの横に座った。
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