駅で寝る

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「今朝早く帰って来たんだね。ライブに行ってたの?」 「うん、盛り上がったよ。一人でも行ってよかった」 「いいなー。私は中学生でしょ。まあ親は気が付かないと思うけど補導されて学校にバレたら大変」  美裕のお母さんもお父さんもスーパーの惣菜と菓子パンさえ置いておけば子供は育つと思っているらしい。美裕も智花も自分で洗濯したりご飯を炊いたりしている。 「四月になったらライブに一緒に行こうよ」 「そうだねー。良い高校に受かるといいな。そんでもって彼氏を作るの」  智花は両手を顔の前で組む。彼氏、男子、男の子、そうだ。 「そういえば大宮駅でカッコいい子にあったの。金狐だよ」 「えっ?狐?」 「ウン、ウン。尻尾があったし間違いない。渋谷にあるお稲荷さんの金狐。渋谷で置物に糞が付いてたの。それを拭いたから私に着いて来たんだって。背が高くて茶色い目なの。すんごいカッコいいんだよ。また会いに行くんだー」  智花は噴き出して笑う。
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