9 きっとあなた ただ真っ白

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「はい、  お電話ありがとうございます!  ○○不動産、研修会場でございます」 職場のdesk上の電話が、珍しく、外線が入 った呼び出し音に変わり、「プルル!」の 2回目の呼び出し音で、それに驚いた茉由は 急いで出る、と、 「茉由ちゃん、急いで、      帰ってきて…」 それは、初めて、この番号にかけてきた、 茉由の母から電話だった。茉由の母は、娘の 声が判ったのか、自分を名乗らず、いきなり、 茉由を急がせる。        「どうしたの?この、           番号、知ってた?」 「茉由ちゃん、すぐ、     帰ってきて!」 母は、短く、 自分の言いたい事をただ一方的に伝える。              「なに?」 茉由は、全く状況が分からないから、怪訝な 表情になる、「いま仕事中」の方が気になる。 茉由の母は、茉由のスマホに電話をしたのだ が、茉由は、私物は全て、ロッカーの中なの で、勤務中は、自分のスマホを見ない。 だから、茉由の母は、茉由から渡されていた、 茉由の名刺に記載されている、この番号に、 かけてきた。それを、茉由は忘れていた。 「茉由ちゃん! 何度も …   ニュースに、名前が …」              「えっ…」 「乗った飛行機、     が、事故 …」              「......」        『 ガタン!』 茉由は、席を立った。 ここから、は、 茉由は、おかしくなる。 自分で動いていても、カラダと頭が、バラバ ラになったように、訳が解らない、けれど、 ただ、急いで、動く。 母の話は終わっていないかもしれないのに、 無意識に、受話器を戻し、 「家で、困った事があったようなので」 っと、staffに伝えたが、 誰からの返事も待たずに、慌ただしく、 desk上を片付け、急いで会社を出た。 もう、外、で、帰り道、 … あっ!… 『 家で、何かあったようなので、  申し訳ございませんが帰ります 』 上司の高井には、 短いメッセージ、で、連絡を入れる。    ……⁉ 『 わかった ... 』 高井の返信も短かった。 高井は、たまたま、この時、deskのPCで、 「その」海外ニュースを見ていた … 🖥…   「…大丈夫か?…」 茉由は、スマホを握りしめたまま、頭の中は、 もう、「真っ白」になった。仕事のことは、 もう、これで、頭の中に「 なにもない 」 茉由は帰宅すると、そのまま、真っすぐに、 ダイニングルームに入った。そこには、 すでに、家族が揃っていた。 家族は、黙ったままテーブルに着いている。 茉由の母は、気が抜けた表情で、淡々と、 電話の続きを茉由に話した。 San Franciscoでの学会に出席し、そのまま、 UC◎Fにお邪魔していた、茉由の夫は、 なんの用事があったのか、国内線でChicago に向かう飛行機に乗ったが、その飛行機は離 陸に失敗し、その事故で、夫は亡くなってし まった。 茉由の母は、 茉由をリビングルームへ連れていく… リビングルームには、もう、 大学から、事の説明をしに、 何人かの人が控えていた。 「 この度は、突然の事で…」           …なに?これ…           やめてください!            聴きたくない…          「あんな、遠くの…」 茉由は、話を聴いても、状況を理解できない。 この時、から、は、 茉由の、 頭の中だけではなく、 目の前も、真っ白になる… 茉由の夫は、有名私立大学病院の外科医で教 授だった。この大学の法学部を茉由は卒業し ている。茉由は夫と同じ大学出身者だった。 茉由は、 ずいぶんと久しぶりに大学へ往った… 大学は、夫の「お別れ会」の儀を行った。 茉由の頭は、 なにも動いてはいない。 周りの人に、 云われるまま動いていた。 自分の周りに、 誰がいるのかも解らない。 「茉由ちゃん…」 その声が耳に入る、と、茉由は、再び、 自宅のダイニングルームに居て、 家族と共に、テーブルに着いていた。 あの日… 帰宅した時と同じ… でも、いまは、 皆、黒い服を着ていた。          「…なに?」 茉由は、 ぼぉ~っと、した、まま、 前を向いている。でも、 返事、だけ、は、した。 「 茉由? 子供たちは  俺が看るから、おまえ、    少し、休んでこい …」 なぜか、佐藤の声が聞こえた。           「 はい… 」 茉由は、 前を向いて、でも、 焦点が定まらず、 ぼぉ~っと、したまま、 そう、返事をして、 独り、寝室に入っていった。 それから… どのくらいか、 茉由は寝室に入ったまま…     『 コンコンコン ... 』 どれくらい…、 何日が過ぎたのかも分からない。 ベッドに横になったままの茉由に、 母は、静かに近づいてきた。 母は、 何も言わずに、ゆっくりと優しく、茉由の額 に手をあてて、そして、また、ゆっくりと、 その手を動かし、茉由の頭を… 髪をなでた。 その母の温かい手が、ゆっくりと動き、茉由 の頬に触れた時、横になったままの茉由の眼 から、涙が細く、長く、ようやく、 流れデタ。 でも、 出たのは、涙だけ… 寝室から茉由は出ないまま、 茉由を心配した、 梨沙、咲、佐々木、亜弥は、茉由の家を訪れ、 寝室のドアに向かい声をかけてみたが、 茉由は出てこなかった。 佐藤は、 毎日、子供たちの様子を看に、仕事帰りに寄 り、子供たちがベッドに入り、眠るまで付き 添っていた。 毎日毎日、 佐藤は、茉由の家に通った。 高井は、 茉由が会社を休んで、5日目に 茉由の家を訪れた。 その玄関先で、 茉由の母に、 事務的な事を伝える。 高井は、 家の中にまで入らない。 「 この度は… 」 一緒に同行した総務の者が、 茉由の母に説明を始めた。 「 茉由さんは、  マンションギャラリー勤務  だったときには、  マンションギャラリーから  マンションギャラリーへの  異動で、休みも不定期でしたが、     いまは、本社勤務ですので 」 「 今回のケースですと、  5日の休みは認められますが、  その後は、有給休暇をとる         事になります 」 「 けれど…、お気持ちは、  お察し致しますが、今回の  ケースでも、2 週間を過ぎますと、      『休職扱い』になります 」 「…そうですか 」 茉由の母は、 外の、会社の、話は分からないので、 聞き役になるだけだった。 高井たちが帰った後、茉由の母は、 その話を、ダイニングルームに控えている 佐藤へ、そのままもっていった。 佐藤は、暫く考えたが、 「 お母さん、べつに、  茉由がこのまま、仕事を  辞めても、  良いんじゃないでしょうか…」 っと、茉由の事、なのに…、この家の事、 でもある話に、自分の意見を、云いだした。 「 そうね… 」 茉由の母も、いま、この話を茉由にするのは 躊躇った。こんな時に「仕事の話」は、なん の、気力も、ない、正気、でもない、茉由に は話せない。 茉由の夫は、医師で、賢く、プライドが高い 人だった。茉由とは、同じ大学の先輩後輩で、 そこから考えると、17年の間、茉由を管理・ 監理してきた。 茉由は知らない事だが、この夫は、茉由と同 じ様に、この私立の学校で、子供の頃から、 ずっと、学んできて、茉由とは学年違いだが、 茉由がまだ、小さかった頃から、ずっと、 茉由を、みて、きた。だから、 茉由を思っていた時間は、 とても長く、深く… そして、 茉由が人に依存するタイプだとの事も、 よく知っていた。 茉由は、大学時代にこの夫とつきあいだして、 卒業と同時に結婚し、すぐに子供を産んだ。 自分が大人になる前に、 茉由は、 自分の子の、子育てを、自分の母親に頼った。 それからも、いままでずっと、 この夫は、 茉由の、ピュアな、人を疑わない、 そんなところも判っていて、 自分が疑念を抱いた、 茉由の仕事先に「男の影」を見つけた時に、 茉由に制裁を加えるため、 病気と信じ込ませて、 いらぬ手術を施し、薬を投与し、 行動を制限した。 茉由は、そうされても、なにも疑わずに、 5年間、医師である夫に従ってきた。 夫は、家族の誰にも、自分の心持は話さない まま、どう思われようが、気にするでもなく、 自分の力を示しながら 茉由を愛してきた。 🌷… 茉由の夫は、 有名な大学病院の教授で、 入院患者さん達の病棟回診、通院患者さん達 の外来診察をこなし、担当医としての手術、 術後の診療を担当し、書類作成などの事務作 業もし、大学での研究、論文作成、海外や国 内の学会での発表、講義や実技での学生のた めの授業、試験、その準備と審査、等等、そ れ故、家に帰る時間も、ほとんどなく、 そこでの対応も、秒刻みで忙しいのに、教授 になったばかりで、さらに、もっと忙しい中、 そんな夫が、 学会に出席のために、アメリカへ向かう直前、 スーツケースをとりに帰ったこの家で、 最後、に、目にしたのは、 家族の中で自分だけ知らなかった、 茉由の勤め先の、茉由と同期、の、 佐藤が、 当たり前のように、ダイニングルームで、 家族と共にテーブルに着き、 その佐藤の方が、自分よりも、 家族の事を良く知っていて、 存在感を示すように、 家族に、親しく、振る舞う姿、 それは、その日よりも、もっと、以前から、 単なる、茉由の同期ではなく、それ、以上の、 家族にとっても、親密な関係であるとのこと も知らされ、 茉由は、 行動を制限させるために、自分が処方した、 副作用の強い、そのために、免疫力を弱めて しまう薬を、いつの間にか、 主治医の、 自分に断る事もなく、勝手に飲むのを止めて、 自由に、行動できるようになっていたのも、 知ってしまった。 そして、それでも、 そのテーブルに着いたまま、 夫は、子供を連れて、茉由に、一緒に、 アメリカに行くことを誘ったのに、 茉由は、 それを拒んだ。 いままで、 この夫に逆らったことはなかったのに、 なぜか、この時は… 最期の最後に、 そうなってしまった… 夫は、 日付が変わった、朝が来る前、 家族が誰もまだ起きてこない時間なのに、 独りで、家を出た。 茉由は、もちろん、 こんな事になるとは、解ってはいなかった。 夫の事は、もう、ずっと前から、 思ってはいな…、 いざ、こんなに、突然、に、 いなくなってしまうと、 やはり、ポッカリと、カラダの中に、 大きな穴が開く。 そのせいで、 自分の大事な、子供たちの事も、 せっかく続けてきた仕事の事も、 なにも、考えられなく、なっていた。 これでは、 佐藤の云う通り、 仕事を辞めても、辞めさせられても、 なにも、感じないのかもしれない。 佐藤は、このまま、この事がなくても、 茉由の家族を丸ごと引き受ける気持ちはでき ていたので、ここで気が動転することもなく、 会社の者と行動を共にしないで、 独り、茉由の母と、茉由の子供たちと 共に、この家に居る。 高井は、佐藤とは違い、 再び、この家に訪れることはなく、 茉由とは、距離を保っていた。 そして、 10日ほど、 時が過ぎたころ、 それまで、は、 ただ、フワフワと、独りで、 この家の中を漂っていた茉由は、 この日、ようやく… フラフラッ、と、 ふらつきながらも、 寝室、の、dresser、の、 鏡の前に ストンッ、と、腰かけた。 ぼぉ~っとしたまま、 貌をあげて、前を向き…            「 コレガ…ワタシ?    …ヒ・ド・イ・カ・オ 」 茉由は、10日、ぶり、に、弱くかすれた、 渇いた声を出した。 目の前の、鏡の中の、貌が、 自分ではないように感じた。 そのまま、フラフラと、なにも見えない真っ 暗な中を進むように手探りで、両手をゆっく りと動かしながら… 壁を探し…、 壁を伝うようにして、膝を曲げることなく、 足を引きずり… ルームシューズが床に擦れ、ズリッ、ズリッ、 っと…、 その、音を聴きながら… それで、 自分が動いていることを感じて… 静かに、ゆっくりと進み、 壁でカラダを支えながら、 寝室から出ると、 そのまま、その先の 廊下の壁に頼りながら、 ゆっくりすぎる速さで進み、 バスルームに入っていく。 目を閉じて、 熱いシャワーに顔を向けると、 とじた瞼、が、熱い。 熱いシャワーにしたのに、 それよりも熱かった。 すると、 シャワーで濡れたのに、 それでも、 涙が溢れてきた。 熱いシャワーと熱い涙が、 同じ様に、 茉由の頬に流れる。  …あの人は、  とても賢いけれど、私よりも、  不器用だったのかもしれない…   … そう… よ… ねぇ…          … アナタ…     … かえって… き… て… シャワーを済ませても、 茉由はスッキリとはせずに、ぼぉ~っと、 したまま、ゆっくりと、着替えをして… そのまま、ずっと、 ぼぉ~っと、したまま、 足を引きずり… 壁に頼り… ダイニングルームへ入った。           『 パタン 』 そこに居た、 ダイニングテーブルで、一緒にゲームをしな がら、佐藤の膝の上で甘えていた下の子が、 茉由に気づき、母に甘えたくて、 抱きしめてほしくて、跳びかかってきた。 「 おかあさぁーん!」             …あっ!…     『 …ドクドクドクッ!』 茉由は、何日かぶりに、カラダ全体が熱くな り、自分の、鼓動が、聴こえた。 🌷🌷…                      「 ごめんね…」 茉由は、子供を放っておいたことに気づいた。 茉由の眼に、また、熱い涙が溢れた。 お兄ちゃんも、そんな茉由に寄り添う。 佐藤は、その場に居たが、その、 母、子、には近寄らずに見守っていた。 この、 辛そうな茉由をみて、 なにを思うのか… 茉由は、ギリギリ、 13日ぶりに仕事へ戻った。 朝一番に、 高井のdeskの前に立つ。     「 この度は、      ご配慮いただきまして…        …恐れ入ります…      本日より、仕事に戻ります」 「 あぁ…、問題は、ない…」 高井は、一言だけ、 茉由に返した。 📱…📲           📳…! 『 …もしもし、佐藤さん?  ご心配戴いたけど、今日、  茉由ちゃん、お仕事に行きました。  ありがとう、佐藤さんのおかげね…』 茉由の母は、娘が仕事に出掛ける朝、駅に向 かう道まで付き添ったが、その後ろ姿に安心 したのか、家の中に入ると、すぐに佐藤へ電 話をする。 「 あー、おはようございます、  そうでしたか…  それじゃあ…、今日、『僕』は、  少し遅くなるので…、また、       明日、伺いますね!」          『 はい、明日ね!』 「 はい、明日は、  買い物もして往きますから、  買い物リストできたら、      おしえて下さい!」          『 はい、宜しくね…』 「 では!また!」               ツッ…             ツー… 「 フッ…」           …🏠 「 さてと…、吉祥寺の店、  念のため、予約入れとくか…       遅くなるのも、な…」 佐藤は、店の予約をサクッといれた。  🏢㍇              🚙...    🍝🍛🍜🍣🍸🍻🍶 「 おぅ、お疲れ!   迎えに来たぞ…」 マリンは、仕事を終え、マンションを出ると、 佐藤の声に気づき、嬉しそうに微笑む、 そのまま真っすぐに、 可愛らしくその車に駆け寄ると、するぅ~ っと、滑らかな腰の動きで車に乗り込む。      「 お疲れ様です!今日は、          オマカセですか?」 「 あぁ…   マカセろ!」             「 では…」     『 パタン 』          『 カチャ 』 「 よし!」       「 フフッ❣ 」 佐藤の車は、静かにマンションから離れた。 マリンは、佐藤と同じ会社で、 マンションコンシェルジュの お仕事を担当している。 このお仕事は、 マンションのフロントサービスのお仕事。 ご入居者様からの、クリーニング、宅急便、 タクシー、ゲストルーム、パーティールーム、 時間貸し駐車場などの、利用申し込み受付や、 マンションの、エントランスに設けられた フロントで、来客の受付などをしている。 マリンは、エリアサポートをしていて、いく つもの物件に入るので、便利屋さんの様に、 新人さんの面倒を視る事も多い。 今日は、 いつも急に、短いメールで、新人の導入研修 をマリンに押し付ける佐藤が、その、お詫び に?マリンを、食事に誘った。             『 ズリッ…』 大きめのレザーシートに腰を下ろしたマリン は、その安定感に心地よさを感じる。         「 そういえば、     前も乗せていただきましたが、     これ!スゴイですね、この車?            課長のですか?」 「 あぁ…、  会社から補助は出るし、  輸入車も買えるな」         「 えっ?ずるいですね」 「 そ?だって、   皆、同じだろ 」       「 いえいえ、         全員じゃないですよ 」 「 そうか?まぁ…俺の仕事、    車は、必要だからな…」         「 はい…、でも、              良いなぁ…」 「 そうか…」      …だって、これ、デカイ車…      …何人乗りナノ?…      …ファミリーカーみたい…      まぁ…、課長もデカイから…           こんな?カンジか…   『 ヴオォ----ン 』  🥦🥦   🚙--- たしかに、 佐藤はシングルなのに🚙は輸入 車の4WDで、大型。 これは抜け目なく、茉由の家族全員+👶人? が乗れる、し、車高も高く、タイヤも大きい から、見た目もワイルドで、仕事用?で、も なさそうな「男の子」が好きそうなカンジで、 急に変わった、どんな悪天候でも、悪路でも、 そのまま、気にせずに、走れる、と、の、 そんな車をワザワザ?選んでいた。 ☁☁         ☁☁                 ☁☁    『 パタン 』            『 バタン!』 🐓…           ... ここ?吉祥寺?… 車から降りたマリンはキョトンとし、 それを、 佐藤は気にせずに店に向かう。マリンは、 首を傾げたが、ついて行くしかない。 …☁☁☁         「 ここ?です?かぁ…」               🐓…⁇       …🍖🍖🍖 ☁☁☁… 「 あぁ…」            …モクモク?… 🍗🍗           「 ケホッ!いえ…」     ☁     ☁☁           「 なんで?ここ?」 「 あ?旨いぞ、ココ…」 ☁☁☁…        …美味いからって?…         ここ?って、それは…         間違ってない、かも…                      ケド…               ここ?… 🐓...?         「 そうです?…          でも、臭いが…          吉祥寺だったら、             ほかにも…」 …☁☁☁ 「 あぁ?旨いから、  連れてきたんだぞ?  服にか? って、  おまえ着替えるだろ?」          ☁☁☁…        …初めて、連れてきた?         連れてきてもらって…               ここ?… 🍖🍗🍖...        「 そうですけど…、         臭いがついたsuit?               明日…」 …☁☁☁ 「 あぁ?だから!  ミストとかあるだろ…」             ☁☁☁…         「 そうですけど…」          …じゃなくて… ☁☁☁… 「 あー!  うるせいなぁー、   腹、減ったー、      いくぞ!」 🐓?...          🍖... 佐藤は、細い路地に構える、美味しそうな、 香ばしい匂いと、そんな白い煙が店の外に まで拡がり、それで、嗅覚視覚を刺激され、 つい、つい、寄ってしまう、もうすっかり、 早い時間から賑やかな店に入っていった。 🐓🐓           🍖       ☁☁          ... えぇぇぇ💦 …      ☁☁☁ ☁☁  キャッキャ…           ガヤガヤガヤ…      ☁☁ モクモクモク…             ☁☁☁… 🐓.。o○       モクモクモク…            ☁☁☁… …🍗🍖🍗              🐓🐓       …って!課長💦これ、        自分が、        食べたいもの ❔… 🍖🍖   ☁☁    …もぉ!…😠 …          ガヤガヤガヤ… ガヤガヤガヤ…       キャッキャ… 🐓🐓             ☁☁    『 ハイ!     おまちどうさまー‼ 』 🍖🍗🍖!                       🐓🐓?       ☁☁... ここは吉祥寺の、○〇○〇横丁、賑やかな店 がびっしりと並んでいる。 佐藤は、 忙しそうに、勢いよく、注文を訊きに、 テーブルに寄った店員を、待たせることなく、                ☁☁ 戸惑うマリンを待てないのか、サッサと、 とりあえず!の、飲み物と、マリンに食べさ せたい料理を、勝手に、頼む。       🐓 🐓...    🍖 ☁☁ その、 手際の良さに、👀マリンは感心し、 決断力の速さにも、頼もしさを感じ、              ☁☁ この店に入るまでは、一瞬、だけ、この、 賑わいのあるエリアにビックリしたが、 🐓...         🐓 🍖          ☁☁ それでも、 もう、機嫌は悪くない。             ☁☁ 🐓…🐓…🐓…!          ☁☁ …🍗🍖🍗 🐓        🍖  🍖      「 へぇ~、美味しそう…」 「 だろ!食えよ!」           …🍗🍖🍗 ☁☁      「 はい、いただきます!」 「 おー!」          ☁☁☁…    ☁☁ カチャカチャ… ☁☁☁…            ☁☁ 「 おっ!やっぱ、   旨いじゃん!」           「 うん…」 🍖🍖🍖… ガヤガヤガヤ…        カチャカチャ…     …🍗🍖🍗 🐓           🍖🍖 🐓…          … そうね… ☁☁☁…       ☁☁ 「…な!」         …!          「 はい!」 🐓…        キャッキャ… バクバクバク…       モグモグ… 🐓🐓…!          「 課長?」 「 なんだー」           ☁☁☁… 🐓…      「 私…       思ってるんですけど…」 「 あぁ?」          …🍗🍖🍗 🍖🍖               ☁☁       「 あの…、たった、        1日の OJTって、        意味があるんですか?         なんだか、バタバタで、        1日じゃぁ、かえって、        新人さん大変ですけど…」 マリンは、 仕事熱心、で、チャンと向き合っているから、 こんな時でも、話を聴いてもらえるなら、と、 上司の佐藤に、意見を言う。 ☁☁☁…                ☁☁ 「 あぁ…、俺が  決めた事じゃないし…、  研修は、品川の本社でも     やってるんだろ…」 🐓…        🍖🍖…        「はい、1週間連続で…」 ☁☁ 「 だろ…、だからじゃね?」        「でも…、せめて、2日?」 ☁☁☁…            🐓🍖🐓🍖 🐓… 「 まぁ…、な…、   個人差があるけどな…」            「 ...ですよ」 ☁☁☁…     …🍗🍖🍗 🐓         🐓...? ☁☁ 「 だが…、マッタクの新人は、  中途で採用してないし…  元、CAとか、元、デパートの…  とか、だろ?」          「そうなんですか?」 ☁☁☁…              ☁☁ 「 あぁ…、うちの会社は、  中途は、チャンと動ける、   接客経験者だからな...」             「 へぇ…」 …🍖 「 あぁ…、まぁ…     考えとく…」             「 はい…」 …🍗🍖🍗            🐓...🐓 ☁☁ ガヤガヤガヤ         カチャ、カチャ…   キャッキャ…             ☁☁☁… 🐓… 佐藤は、ガツガツと自分のペースで食べ続け たかと思ったら、急に、                ☁☁ 料理でイッパイの、小さなテーブルを挟んで 向かい合う、マリンに、 自分のテカテカ、な、顔を、にゅ~!っと、 近づける。             …🍖🍖🍖 「 ナ~?おまえサー、   👀綺麗、だけど…」              ☁☁☁… 🐓🐓          …っ!ちかっ💦… 🐓…         「 はい?           なんです?…」 🍖… カチャカチャ…              ☁☁☁… ☁☁ マリンは自分の容姿に自信があるから、急に、 顔を近づけられても、ベツニ…だが、 佐藤の、👀!目力は、スゴイ! ☁☁☁…             …🍗🍖🍗 🐓🐓       ☁☁ 「 いや…」           「 なんです!」 マリンは、性格上、 ハッキリとしない事は、許せない! 🐓🐓         🍖         🐓… 「イイじゃん…     うん…」         「 ご自分で言って、             それって…」 ☁☁☁…         ☁☁ 佐藤は、面倒くさそうに…              …🐓? 「…ン!アァー、おまえ、    本社から…、ダロ?」 🐓🐓       ☁☁       「 はい…、本社…        営業本部からきました…」 ☁☁☁…             🐓… 「 …そ」        🐓… 自分から訊いたわりには、 返事は短い…             🐓🐓 ☁☁            「 はい?」 ☁☁☁…           …🍗🍖🍗             ... なに?… 「 うん…、おっ!」            「 なんです?」 「 これも、旨いな…」             …???… 🐓🐓   ...🍖              ☁☁ ゼンゼン分からないマリンが怪訝そうな顔に なっても、佐藤は、気にせずに、終わらせた。          ☁☁ 佐藤は、 なにを…             …🍗🍖🍗 🐓🐓     🍖             ☁☁ ガヤ…       ガヤガヤ…         カチャ…カチャ… キャッ…キャ…           ☁☁☁…        🐓… でも、また… 佐藤の方から、        🍖🍖          🐓… 「 あの…、GM…」              ☁☁ マリンは、ポツポツとしか喋らない、そんな 佐藤に困りながら、なんとか、それでも、合 わせる様に、探りながら、 ☁☁            「はい…?」        🐺…? 「モグモグ…」        「 あっ?高井GMって、         仕事、デキますよね!」 ☁☁☁…            …🍗🍖🍗         ☁☁ 「スギ!だろ…」 ☁☁☁…            ☁☁☁…    …🍗🍖🍗       「 …そうです?         営業本部のために、              いつも!」        🐺 …❣ 「 アァ…?  本部の、ため、か?      …イイケド」             「 はい?...」 🐓…              …なに?… …🍗🍖🍗        🐓🐓      🍖 ☁☁ マリンは訊き返したが、佐藤は、つまらなそ うな顔をした。 これは、なんのために?か、 これで、ちゃんと会話が成立しているのか、 不可思議だが、 本当は、 他に訊きたい事があるのか、さっきから、 自分から言い出しては、マリンから返事を求 められると、他人事のように、短く、呟く。 ☁☁☁…              🐓🐓         ☁☁          …って? 終わり?           えっ? イイの?               かな?…   カチャカチャ… ☁☁☁… 🍖      🐓     🍖           ☁☁ バクバクバク… 「......」             モグモグ… 🍖🍖🍖…       「 ン! 美味しいですね!」 ☁☁ マリンは話を変える。 佐藤もハッキリと答えた。              🐓… 「 だろ!」 ☁☁☁…          …🍗🍖🍗 ☁☁ ガヤガヤガヤ           キャッキャ…     ☁☁☁… 🐓… 「 おっ!忘れた…、  おい、乾杯するか?」… 🍻         「 もう!イイデス 」⤵ カチャカチャ… ☁☁☁…             …🍗🍖🍗     ☁☁          …ったく!なに… ガヤガヤガヤ…          モクモクモク…       ☁☁☁… 🐓.。o○         モクモクモク… ☁☁☁… …🍗   🍖🍗           ☁☁ 佐藤は、 どういうつもりで、マリンを… 初めての食事、に、この店、で? それに…              ☁☁ いつもよりも、佐藤は、 口数が少ない。           ☁☁ まぁ…それでも、たしかに、料理の味に間違 いはない店、には、変わりはなく、       ☁☁ お腹が満足する、こと、は、できた2人。 ☁☁       「 ゴチソウサマデシタ!」 「 おー!」                ☁☁ 店を出ると、 佐藤は車には戻らずに、マリンには何も云わ ぬまま、暫く街中を歩き、気分をかえたいの か、大きな公園へ入っていった。 これだって… 吉祥寺には、 2人で、2人、なら、楽しめる場所はたくさ んあるのに、せっかく誘った、マリンが喜び そうなところだって… なのに…              … ☆★☆ 🌠 マリンは、キョトンとしたが、今日は、佐藤 に連れてきてもらったので、そのまま、黙っ てついて行く。              … ☆★☆ 🌠 ★☆★ … ここへは何度も訪れていたのか、佐藤は、 前を向いたまま歩き続けた。公園の中なのに、 少し早めに足を進める、 マリンは、ピンヒールではそんなに早くは歩 けないので、つま先でチョコマカと着いて行 くカンジになる。 🌠 それでも、佐藤は、 マリンの事を気にかけ、振り返る事もなく、 早さを変えずに、ただ、自分のペースで歩き 続け、              … ☆★☆ ★☆★ … そこに在る事を知っていたかのように、 前方に見えるベンチに向かっている。 そんな、 佐藤は、マリンが、自分から離れない事を 分かっているのか … ようやく、 お気に入りの?ベンチに着いた佐藤はゆっく りと腰かけると、目の前の静かな池を眺めた。 とても、穏やかな表情だった。 マリンは、 やっと追いつくと、そっと横に腰かけた、              … ☆★☆ 🌠 ★☆★ …                🌠 井の頭恩賜公園は、緑豊かな公園。歩くのに はちょうど良い広さで、気分転換になる。 佐藤は、昼のここよりも、しっとりとした 空気を肌で感じる、夜の方が好きで、 こんな、ちょうど良い時間になるまで、先に 食事も楽しんだ。 井の頭池は、夜は静か。池に覆いかぶさるよ うに枝を出す桜の木は、水面の上に立体的な、 奥行きを感じさせ、景色は、ぼんやりと深み を増す。               … ☆★☆ ★☆★ … このシチュエーション、 季節は違うが … 以前の、「あの、時の、2人」、 夜桜をバックに … の、 高井と茉由と、似ている … 🌠      「 佐藤課長って …       好きな人いるんですか?」 マリンは、ポツリと、でも、ハッキリ、と、 ベンチに並んだ佐藤に尋ねた。 「 好きな人 …   は …、いな …」 佐藤は、前を向き、静かな、深い夜の色をし た池を眺めながら、呟いた。 でも、佐藤は、また、 ハッキリとは言わない。 それに、    これは …、佐藤の本心か … 🌠 マリンは、 佐藤と茉由が同期だとも知らないし、 かなり、 拗れた関係なのも知らない。 だから、 いま、聴かされた、その返事に、 安心したのか、 ドッシリっと、 安定感のある佐藤に、 少し、もたれかかってみる。 甘えて … すっかり … 身を任せる。 「 仕事がデキル 」上司? 「 たくましい 」男?に              … ☆★☆ ★☆★ … 佐藤は、 そんなマリンの様子に、なにか、確信したの か、マリンの身体を受け留め、広い胸、たく ましい腕で、包み込み、前をふさぎ、 マリンが、    自分以外はなにも、           誰も見ないように、 🌠 kiss をした。 🌠 それは、   自分のカラダの重み、          力を伝え征服させる、 気持ちを込めて、 あの時の、ここでの、 高井と茉由の kiss よりも、 ながく、深く …             … ☆★☆ 🌠               🌠 ★☆★ … その 2人と違い、       この 2人には、           何の障害もない。 マリンにはちゃんと伝わる。 この深い kiss のとおり、に … 「 フッ…」 これは、 佐藤の気持ちが本心ならば … なにも、問題はなかったのだが … 佐藤の思いは … どうして …       ワザワザ …              ここへ … … 佐藤は、あの日の、高井と茉由を、       知っていたのだろうか … だから、なのか … マリンはなにも知らない。             … ☆★☆ 🌠    🌠            🌠 ★☆★ … さきほど、 食事をしながら... 佐藤は、 営業本部から来たマリンに、警戒をし、 探りを入れていたのだが、 それは、 営業本部のTOPが、高井、だから… その、営業本部から、 ワザワザ、自分の近くに、 優秀な者が来れば、 茉由のことは、もう、「近く」、 余裕が出てきた佐藤は、普段の、 鷹のように、早く、鋭い、 優秀な男に戻っているのだから、 これに、ちゃんと、警戒をする。 関西の時のようには、ならない。 そして、   そんな、     佐藤は、考えた。 マリンの様子から、 たぶん、まだ、高井の考えを知らない マリンに、 高井よりも早く、     マリンに寄りそい        近い男に、なる、と。 そして… マリンを、 高井の考え通りには動かさないように… 佐藤は、 あの会社の中で、天下無敵の高井にも、 もう、ひくことはなく、向かっていける。 その、高井は、 亜弥、と、ミオン、と、茉由、の、事で、 ドタバタ、ジタバタ、している? いま、賢くて聡明なマリンは、 しっかりと、 佐藤のたくましい腕に抱かれ、 身を任せている。 佐藤とマリンは、公園を出ると、 そのまま、吉祥寺の…に、 佐藤は気づいているのだろうか、 自分の母親と、茉由を、 重ねて、想い、みていることを、 だから、 佐藤は、茉由の傍にいて、 護ることはできても… マリンに、    しているようには…           できない… だから、今日は、 この公園へ来て、 そのあとに、マリンと…            ベッドで2人、 「 なぁ…    俺は…」            「 はい?... 」 「 おまえを…」             「 課長?」 「 おまえは…俺に…     ついてくるか?」              「 ……」 「 おまえなら、     俺は…」        「 オマエじゃなくて、              名前で…」 「 あぁ…」                🌼…  🔁  ...🌷 ―             「 ごめんね…」 茉由は、子供を放っておいたことに気づいた。 茉由の眼に、また、熱い涙が溢れた。 お兄ちゃんも、そんな茉由に寄り添う。 佐藤は、その場に居たが、その、 母、子、には近寄らずに見守っていた。 この、 辛そうな茉由をみて、 なにを思うのだろう…     ― 佐藤は、ずっと、    あのときも、動けなかった… ―  「 俺は、本気で想う人を、   その人に、   俺のことで、   辛い思いもさせたくはない。   だから、茉由は、   茉由のままで良いんだ、          そのままで!」 ―  佐藤とマリンは…           マリンと茉由は… 🌷…                 …🏠 茉由は、 ドンクサくて、物分かりが悪いから、 夫の最期を、他人から聴かされただけなので、 自分が、普段の生活に戻ると、 いつものように、夫だけが、ただ、 離れているだけ、の、ような感じで、 また、しばらくしたら、 突然、 夫は、家に還ってくるように思えて、 だから、 別れを実感できないから、以前と同じ様に、 変わりなく、日々を過ごしていく…                                 … 🌷 🐺 … 高井は、 あの日、訪れたのに、 茉由の家の中に入らなかったのは、 入ろうとした玄関に、自分よりも、 「サイズの大きな靴」があったから、 それが、誰の靴なのか判ったから…                                … 🦅 🕊🕊…
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