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アラストルが地上へ降りる日、 天界の同胞たちは 「やっかいごとが減る」と 腹の中で小躍りしながら 「お前がいなくなると寂しい」と 暗い表情で握手をしてきた そんな中、 魔界の王だけは 心底この移動騒ぎを 苦々しく思っていた 「・・・天界人というのは 後先考えず自分のまわりを クリーンにしたがる・・・・・ ・・・・・病気だな、あれも」 魔界の大鏡から 天界の様子を観察していた十王のひとり 都市王は中性的な顔立ちの美丈夫だった 「・・・・・お前はどう思う焔」 「焔」というのは いくら業火で焼いても みじんも悪事を悔い改めなかった 黒服側近のあだ名である 「・・・・・俺は、 元々偽善者でジンマシン出る体質なので」 側近が楽しそうに笑った 「・・・面白そうじゃないですか、 暴力が地上に投げられるとか」 「元々、地上の人間だろ・・・・・・・」 「今はここが職場ですから」 焔という男は 生前ずぬけた 天才肌のバイヤーだったが、 対人において相手を舐めすぎ 痴情のもつれで あっけなく殺されたという 本人にとっては 最高に屈辱の死因だった 散々焼かれすぎても反省せず、 肉体が半分使い物にならなくなり 元々本人の 魔物としての能力である「雷」は 機械化した体内の発電機で 発動せざるおえなくなった 「・・・俺は、 正直アラストルの方が気が合いますよ ・・・俺に、地上に行って監視しろって 言うんでしょ・・・・・・?」 都市王は苦笑いした 「仲良くなれそうか」 地上の地図を 黒いモバイルに転送しながら つまらなそうに返した 「・・・・・いやだな、 俺は、俺以外 すべてを愛してるんですよ・・・・・」
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