お家探し①

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お部屋探しの条件。 ① 南向きの部屋がある2LDK。 ② エアコン完備。 ③ 風呂トイレ別(脱衣所があればなおいい)。 私達が出した条件はこれだけだった。 駅までの道のりは自転車でカバーするつもりだ。 もちろん駅近物件があれば助かるけど、今のところネットで確認してる限りでは…無いに等しい。 それでも3つの条件を満たしてくれる部屋はわりとあって、いくつか内覧の予約を取り付けた。 「ね、真琴さん」 「なんですか? しずかさん」 「住宅街なら戸建てのほうが安いかも?」 「ん?」 職場との距離も考えての土地で探していた部屋だけど、いわゆる同じ間取りの戸建ての家が何軒か並んだような場所もあって、そのことをしずかさんは言っているのだろう。 マンションのほうが比較的多い気がする、築年数を気にしなければリフォームをして洋室になってるところも多いし家賃自体確かに安い。 (でも…っ!) 「ん~…場所をしっかり選べば治安も大丈夫だろうけど…」 「仕事の行き帰りのこと心配してるの?」 「うん。住宅街は人通りあるかもしれないけど、死角が多いから…。内覧して一人歩きする時刻に実際歩いてみれるなら候補には入れる」 「そっか…うん。そうだね」 私の意見をしっかり聞いてくれるしずかさんは自分の中で消化してから納得してくれたようで、笑顔とともに心配してくれてありがとう、なんて言ってチュッと…。 (しずかさんからチューですよ! もう可愛いったら…っ!) 2人暮らしを始めるのはいいけど、煩悩が炸裂しそうで正直怖い。 しずかさんが言っていた、一緒にいすぎると離れられなくなりそうって危機感は意外と現実化するかもしれない。 なんて馬鹿なことを考えながら、ネットで公開している物件をあれこれと物色しては内覧可能かどうかのメールを送る。 今日のノルマをこなすように5~6件に問い合わせると、ノートパソコンを閉じた。 「ふぅ~」 「お疲れさま」 「しずかさんも毎日付き合ってくれてありがとうね」 「一緒に住むとこ探すのに、任せてばっかりじゃダメだもん」 「あ~かわいい。も~かわいい。抱きしめたい」 「抱きしめて~」 となりにあなたがいる幸せ。 手を伸ばせばすぐ届く幸せ。 2人で両手を広げて、キュっとお互いを閉じ込めた。 温かい体温にホッとする。 それは彼女も同じようで、胸元に頬を寄せてから肩の力を抜いて細く息を吐いた。
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