第1話【やり直そうじゃない】

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 土手の高架下、人目にあまりつかないようにバットを握ってみた。  烈は左利き。バットを握るのはどっちだっけ?左手が下?上?まずそこから分からなくなっていた。  慌ててスマホを抜き、左バッターのプロ野球選手の画像を見る。  なるほど、左手が上か……。  軽くプロのバッティングフォームを動画で見た。  スムーズで力強いスイング。  じっと見つめてから、スマホをポケットにしまい、バットを振ってみた。  一振り目、波打つスイングになる。  振った感じも素人のようなスイング。  今しがた見たプロのスイングを頭の中で反芻する。  二振り目、バットは上手い具合に下から出てきて、強烈な風切り音を残した。  このスイングは前の自分のモノじゃなかったが、確かに一つレベルの違うモノだった。
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