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放課後、3階の廊下をキョロキョロとしている烈の姿があった。
(彼女は1年じゃなかったのかも……)
不安に思いながら、窓からグラウンドの方を見ると、あのポニーテールが揺れていた。
「居た!」
声がもれてしまった。周りの生徒は一瞥しただけ。烈は足早にグラウンドへと向かった。
長方形の小さいグラウンドに降り立つと、少人数ではあるが、野球部員とサッカー部員がウォーミングアップをしていた。
小津の姿は野球部側にあった。
烈はよく見えるように防球ネットを越え、グラウンドに出ていた。
ジャージ姿の小津はどうやらマネージャーのようだ。
ぐらりと野球部に対して入部したいという気持ちが揺らいでしまった。
それだけ小津には吸引力というか、魅力があった。
(くっそ……野球部が羨ましい……)
歯ぎしりをしていると、こちらに白球が向かってきた。
烈はその存在にまったく気付いていなかった。
猛烈な衝撃が走ったーー。
仰向けにぶっ倒れた烈。
遠のく意識の中、人の騒ぐ声がしていた……。
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