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烈は真っ白な空間に佇んでいた。
目の前を眩い光が差し込んでいた。
(死んだのか?)
自分に問いかけると、光から声が響いてきた。
「また野球はやりたくはないかね?」
声の主は男で威厳があった。
「あの、俺は死んだのですか?」
「野球やりたくない?」
急に威厳がなくなった。とてもくだけた感じ。
「君は野球をやるために生き返るの。てか死んでいないけどね。どうだい、私と一緒に野球をやりたくはないかね」
(えぇ、おじさんと……)
内心、声だけで判断していた。
「私、おじさんじゃないし。神に歳なんて関係ないし」
「神様なんですか」
「そそ、野球の神。まあ野球の神ってけっこう居るんだけどね」
神は乾いた笑い声を上げていた。
「君、イップスに悩んでるでしょ?全てリセットして、やり直そうじゃない」
神の提案に烈は、しばし考え込んで、小さく頷いた。
「よし、現世に戻ろうじゃない」
真っ白な空間に光が充満し、辺りを包み込んでいった……。
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