第1話【やり直そうじゃない】

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 烈は真っ白な空間に佇んでいた。  目の前を眩い光が差し込んでいた。  (死んだのか?)  自分に問いかけると、光から声が響いてきた。  「また野球はやりたくはないかね?」  声の主は男で威厳があった。  「あの、俺は死んだのですか?」  「野球やりたくない?」  急に威厳がなくなった。とてもくだけた感じ。  「君は野球をやるために生き返るの。てか死んでいないけどね。どうだい、私と一緒に野球をやりたくはないかね」  (えぇ、おじさんと……)  内心、声だけで判断していた。  「私、おじさんじゃないし。神に歳なんて関係ないし」  「神様なんですか」  「そそ、野球の神。まあ野球の神ってけっこう居るんだけどね」  神は乾いた笑い声を上げていた。  「君、イップスに悩んでるでしょ?全てリセットして、やり直そうじゃない」  神の提案に烈は、しばし考え込んで、小さく頷いた。  「よし、現世に戻ろうじゃない」  真っ白な空間に光が充満し、辺りを包み込んでいった……。
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